2017-01-01から1年間の記事一覧

ある連立微分方程式の数値解をなぞる

閉曲線を描く連立微分方程式を考えてみよう。一番身近なやつで、楕円を描くのが、この方程式対だ。その次に来るのは次数からすれば、下式のペアであろう。 その二次元の解曲線は典型的には4次の閉曲線になる。この解x(t)の曲線は三角関数もどきの挙動を示す…

数学的な思考についての図象学的なメモ

ある無文字社会の模樣をみて、いろいろと考えた。この図の意味を、ではない。その用途と生成の状況を数学的あるいはアルゴリズム的なパターン生成と比較して思いを馳せてみた。 この抽象的なパターンはペルーのシピポ・コニボ族の呪術師の治療儀式での音楽表…

自然数の最小素因数と自然数の平方根の対比

素数判定の純朴なやり方は自然数の平方根に近い数まで、順番に割り切れるかどうかを計算してゆく方法だ。 ところで、自然数の素因数の最小値と自然数の平方根に近い数はどんな関係にあるのだろうか? 60は2の二乗、と3と5に素因数分解される。2が最小…

円の連続描画の一手法

木村俊一の『連分数のふしぎ』(ブルーバックス)には人目を引く円の可視化パターンが載っている。それにinspireされたわけでもないが、ちと複素平面で同じような試みをしてみた(やはりinspireされたのだろうけど) 複素数列Znを中心とする円を描くのだが、…

古今の哲学者の数理能力の品評

伝記や著作物から名だたる哲学者たちの数理能力を評価してみる。お題で「品評」としているのは外面的/表面的な評価にすぎないという但し書きのつもり。 古典期ギリシアからスタートする。 まず、哲学の始祖ミレトスのタレス。そして、ピュタゴラスとデモク…

宇宙論的数秘術 エディントンとアダムソン

20世紀の半ばくらいに物理の基本定数である光速、電子の電荷、重力定数、プランク定数から無次元すを出してその数が宇宙を規定している、みたいな議論が一流の物理学者にフィーバーしたことがあったもんだ。 エディントンあたりがその創始者なのかもしれない…

1の円周率級数展開

なにやら意味不明すぎるタイトルだが、意図は単純だ。その結果の意味はやはり不明かもしれない。 1を円周率のべき乗で、無理やり展開してみようという試みである。π進法展開といってもいいかもしれない。つまり、 1=a/π+b/π^2+c/π^3+d/π^4+.…

連分数のグラフ論的表現の試み

連分数はnaturalな表現である。つまり、確定的であり一意的に表示できる。 円周率を例にとるとのようにユークリッドの互除法を用いて、確実に展開を続けてゆける。 なので、超越数のたぐいはどこまでも展開され、そのパターンによって無理性が証明されたりも…

自然対数を繰り返し円周率に適用する

自然対数をπに適用する。その範囲は複素数まで拡大しておこう。 LOG(π)=1.14473....ついで LOG(LOG(π))=0.135169...さらには LOG(LOG(LOG(π)))=-2.00123...ここより複素数になる。 LOG(LOG(LOG(LOG(π))))=0.693763... + 3.14159... I虚部に円周率が登場…

もし三角法がなかったなら

三角法とは三角法の辺と角の関係をもとに様々な幾何学の問題を解く方法もしくは定理の集まりである。 バビロニアにてその原理が確立されていたが、それがエジプト、そしてギリシアに流れ込み、エウクレイデスの『幾何学原本』に代表されるような一大体系とな…

二次体のもたらすオレオレ詐欺

二次体というのは平方数でない整数mと同じく整数a,bで以下のように表される代数的数のこと。 体というからには二種の演算で閉じた構造をもつ。代数的整数論はこの体の研究、素因分解の一意性がどういう場合に成立する条件を探ることからスタートしている…

数学書のバリエーション

数と図形、それに論理と集合を探求するための書籍が数学書だと思いこんでいる諸氏向け書誌。 数少ない数学者の自伝から始めよう。 言葉が少ない理系の人間で、しかも高名な学者の自伝は少ないのは当たり前かもしれない。まして数学者のそれは希少価値がある…

連立の連分数を考えてみる

このようなペアを考える。ある意味、連分数の連立というわけである。これは明らかに次のような連分数の連鎖になる。この極限値は何らにひねりもなくて簡易式が導き出せる。 ひねりを加える。連立の連分数とその陽な解である。 もそっと複雑にしてみよう。 最…

連分数の加算のサンプル

連分数を加算したら、その極限はどうなるだろう。 などという散歩者の夢想を試算してみた。こんな例から調べてみよう。 二項ともにつねに同じレベルで連分数を打ち止めにするのがお約束である。このお約束を崩すと、べつの見通しで計算することになるであろ…

交差点を通過できる最大の電柱の長さ

道幅がそれぞれ a , bの交差点があるとしよう(下の絵)両サイドは家がみっしり立っている。つまり、道幅しか空間が空いていないとせよ。 その交差点を電柱が通過する(簡単のために電柱に長さはあっても幅がないとする) 問題 その電柱の最大値を求めよtを…

交差点を通過できる最大の電柱の長さ 拡張版

昨夜の「交差点を通過できる最大の電柱の長さ」の拡張版であります。 電柱に幅をもたせるのですが、それが一挙に解析解の不可能なことになるのを観察します。 電柱の幅を「w」とします。図のように電柱の長さをk1 k2に分けます。角に接する点で分けています…

正方形のなかの二つの楕円とその交わり

今度は、誰でも考えつきそうで、まだ、未見の図形問題を考えてみよう。未見といっても、Webで類似情報を見つけようと数回ググって発見できなかった程度なので、悪しからず。数学の問題集などにはあるか知れず。 問題はこうだ。 正方形のなかに内接して交差す…

三角関数の不等式を鑑賞する

三角関数の不等式を扱う。やや実際問題から疎遠な形式の不等式であるので、数学的なセンスとはもはや別ものかもしれない。その道具はパソコンであり、数式処理ソフトである。 はじめのケース。領域は -10

アペリーの数の近似を求めて

ゼータ関数でs=3の値をアペリーの数と呼ぶ。なぜ、そう呼ばれるかといえば、アペリーが20世紀も後半になって、ようやくこの数の無理性を証明したからだ。 sが偶数の場合は下のような有名なケースも含めて求まっている。一般の偶数の場合にもベルヌーイ数を用…

調和級数からなる空間曲線の試み

旧説に戻り調和級数への視覚的なアプローチを試みる。角度thを下式のような調和級数で定義する。このthをもって、空間点列を定義する。これで土台は出来たので、点列を結合した結果を計算&表示してみよう。1000個までの点列を結合した結果を示す。 やや…

Ramanujan 二重根号の簡易化のケース

ラマヌジャンの小ネタ。二重根号の簡易化は高校生でも習う。でも、ラマヌジャンのケースは性格が異なるようだ。 三乗根の二重根号の簡易化をラマヌジャンは息抜きに残している。計算値は両方とも0.638186...で間違いなし。まあ、右辺を3乗すれば左辺が出現す…

√2の2進数表現に法則はあるか?

おとぼけ疑問であるが、 のように書けるのだから、2進数での表示になんらかの規則性がでてもいいのではないか。反復とは言わない。反復だとしたら無理数ではなくなる。 百桁までの2進数展開を書きくだす。{1, 0, 1, 1, 0, 1, 0, 1, 0, 0, 0, 0, 0, 1, 0, 0, …

初等和算の例題

クロスする線分、lとl’がある。θで交わるとしよう。その交点を原点とします。 それらの線上で図のように接する4つの円を考えましょう。 これらの円を決める条件は原点から直線と接する点までの距離(ここでは1とする)であります。円の中心を結ぶとひし形…

初等関数からのComplexity

初等関数のシンプルな表式がどのような複雑な造形をもたらすか、は自分の関心事のひとつであります。 今回のお題は下式であります。 三角関係とその指数、それを動かした結果は複素数になるので、ガウス平面で描画させたのです。つまりは、実部と虚部を分け…

『西洋の没落』における数学史の取り扱い

ドイツ人オスヴァルト・シュペングラーによって書かれた歴史書『西洋の没落』は1918年に第一巻が出版され、西洋(独仏英)にセンセーションを起こした。 第一次世界大戦後の疲弊し自信を喪失したヨーロッパ知識人に今更ながら、衝撃を与えたわけだ。 ヨーロ…

小数部抽出関数についてのささやかなメモ

小数部だけを取り出す関数をFractionalPart(x)としよう。 この点はどんな軌跡を描くか、想像できる人は凄いヒトだ。 上の式をxが0→2πまで動かすとどうなるかなんだ。 結果を示すけれど、どうして曲線が分断されて出現するのか、イマイチ理解できてないん…

躾のいい歪んだ曲面

前回のようなフラクタルもしくは無秩序のような曲面ばかりだと目眩がしてくる。 かと言って、そのまま媒介変数で曲面を生み出してみても下のイメージが生成されてしまう。 ここは折り目正しい曲面、適度に意表をつき、人目につくけど、そこはかとなく味わい…

ドラゴンの大動脈断面

仰々しいタイトルなのでありますが、ワイエルシュトラス関数の応用の続きです。一種のフラクタルみたいなものです。色合いが禍々しいところがドラゴンちっくでしょ! 上記の側面図。 レシピはひどくカンタンです。{x(u,v),y(u,v),z(u,v)}で各座標をワイエル…

XY平面的には滑らかなアウトサイダーアートな壺

どんな陶芸職人も造形しえないような形状の壺です。実用にも鑑賞にも適さない。アウトサイダーアート的な壺であります。 半裁した断面です。自己交差が幾重にも折り重なっております。 先日のブログと同じ材料であります。ワイエルシュトラス関数を回転体に…

至るところ連続で微分不可能な表面からなる立体の模倣

高木関数やワイエルシュトラス関数のような連続であるけれど微分不可能の曲線を立体に適用してみよう。 ワイエルシュトラス関数でトライするといっても、もちろん、そんな極限はコンピュータでは扱えるわけではない。無限は扱えないので、その立体の模倣とな…