2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

心の病(ヤマイ)の効用

精神病というとマイナスイメージばかり浮かんでくる。良からぬこと排除されるべきものと差別の対象にされてしまう。 けれど、心の病は決して悪いことじゃない。むしろ異常事態への正常な反応だってことだとしてもいいんじゃないだろうか。竹内外史によれば、…

3D mandelモデル

フラクタル世界はどうして異様な光景を呈するであろう? この3Dの動画も例外ではない。 「3D MandelBulb」はマンデルブローの自然な3次元拡張版の動画である。 これを美しいと思う人は稀だと思う。 でも、この捉え難さと不可思議さ、不条理は世界の本質なの…

「虐殺器官」

「虐殺器官」もプロットは最高だったが、彼方への跳躍が足りなかった。著者の死との隣接状態が小説世界に痛ましい痕跡と切迫感を刻んでいる。9月現在でも売れている本だ。日本的なユルい小説では全然ない。戦闘アクションSFのファッションをまとっている…

最後の明治生まれ

うちのじい様は明治生まれじゃった。九十の齢いを重ねて物故した。 トルストイと同時代人だったこともあるので、孫のワシも歴史を感じたモンじゃった。 明治43年(1910)にトルストイ翁は家出先で亡くなられた。 明治40年台の生まれの方々はまだまだ全国…

S.スメールの匂い

実は、アメリカ人数学者の代表格であるスティーヴンとは、ファミリネームで呼び合う仲だった、らいいなあ。かのポアンカレ予想でも彼の先駆的業績は大きなエポックだった。 最近、YouTubeで彼の業績のひとつがUPされているのを見つけた。 彼の業績が映像に…

ブルームズベリーへの会釈

北條文緒さんの回想録ともいうべき書を最近、読んだ。 冒頭はギリシア旅行から始まる。フォスターの小説世界にその機縁はあるのだそうだ。 引率するは、川島重成先生。その引率ぶりがラディカルだ。ぜひ片鱗を知りたいものだ。一市井人としては、この本で欠…

目指せ!臨界超越者

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/09/30メディア: 文庫購入: 40人 クリック: 509回この商品を含むブログ (401件) を見る テッド・チャンの小説は、ここ…

地勢社会的スケーリング

物理でいうスケーリング則を追求してみたい。単なる比率や密度ではない国の地理・経済特性の比較が可能になるはずである。国家の比較に使いたい新視点な指標だ。 サンプルを出そう。 (1)ネットワーク稠密 交通インフラの集積度や連絡の効率性などを調べる…

瞬時の宇宙創造と破壊

5分前に過去の痕跡を含めて「宇宙が創造」された。 この有名な言説はボルヘスとラッセルによって言及されている(私はラッセルの著作から知ったのだが、いや違うかな?) とくにボルヘスによるイギリス人動物学者ゴスの究極の説の書評がいいのだ。 神学者た…

終末論がやってくる  バベルの無数のざわめき

成長の臨界状態を物語る社会的な現象といえば「終末論」である。 一家言持つ人々がそれぞれの想いや妄念を語りだす。しかもそれらは「時代の終わり」 を告げることでは共通しているであろう。 人々の不安と不信、不幸と不遇にかこつけて語りだす。それがます…

アトランティスと邪馬台国

失われた国家である欧米圏でのアトランティスと日本での邪馬台国、その比較を試みてみよう。 類似点リスト。 1)場所が不明である。アトランティスは地中海の内部(サントリニ島など)であるという説から、アゾレス諸島・南極大陸やアイルランドなど比定地…

戦争と数理科学

第二次世界大戦は科学者も総動員された。そして銃後の頭脳の戦いをたたかった。 兵器や火薬とは別の次元での知能の戦いがあったのだ。とくに数理系の科学者が動員されたのは特筆すべきだろう。 ヨーロッパ戦線ではレーダーと暗号であり、太平洋戦線では原爆…

太平洋戦争での数学者の戦い

やはり高木貞治は暗号解読に駆り出されたようです。一松信の「暗号の数理」にちょっとだけ匂わせてあったので、気にはなってました。 一松のコメントでは先生たちは黙して語りたがらないので、自分もあえて書かないのだというニュアンスです。改訂新版 暗号…

巨大なる複合化に突き進め

巨大な建造物をつくろうとするとそのパーツのデザインに精度が要求される。大量に生産しようとするとやはり品質維持の精度が要求される。大掛かりなページェントが国家や権力の威信を高め、そのために巨大な複合物を呼び起こす呪術が遂行される。 スペクタク…

エレア学派頌 ゼノンは傑物

見過ごされがちな事実への目配りということで、古典期ギリシアの哲学学派であるエレア学派について、褒め褒め賛嘆をしておこう。 何を今更と眉をひそめる向きもあるだろう。エレア学派の重要性は知る人ぞ知るのだから。だけれども、現代日本の片すみにそんな…

ネットワーク綺想ア・ラ・カルト

(1)食物連鎖だけが生き物のつながりではないだろう。呼気排気の関係もあるかもしれない、水分や熱のやりとりもあっていいだろう。そばにいるだけ連鎖なんてのもあるかもしれない(あのライフゲームはそうでしたね)。 そばにいるだけ連鎖っていうのは、ワ…

みっちゃんと語る量子ゼノン効果とゾンビ

コンラート先生いわく、「ゼノンのパラドックスは古今東西の逆説のなかでも最も基本的でありながら、最も過激な結論(この世すべてはone-nessだ)を導く。しかもいまだまっとうに解決されていない。 そうしたことにこだわるヒトは少数派だというのは知ってい…

ボーランド数学の興亡

志賀浩二の「無限からの光芒」は予期せぬ事象に満ちあふれた(数学)史書だと思う。 第一次世界大戦と第二次世界大戦のハザマに一瞬の光輝を放ったポーランドの数学者たち。 シェルピンスキ、スタインハウス、バナッハ、ウラムらを中心に連続体仮説、位相空…

チリ・アクタだらけの自然界

グローバル・ディミング。文明の排出するエアロゾル(排気ガスや焼畑、焚き火など)で地球が冷却される効果がある。 http://www.ihope.jp/2009/06/12091805.html温暖化はその冷却効果を超えてなお気温が上がるとする。 ティンダル現象。花粉症。ブラウン運動…

チョムスキー言明への気詰まりな言いがかり

「緑色の四角は猛烈に眠る」というチョムスキーが苦心惨憺して紡ぎ出した無意味な言明は 共感覚の持ち主には追体験できる正しい言明だったりする。完全に無意味な言明はありえないのではないか?チョムスキー入門 生成文法の謎を解く (光文社新書)作者: 町田…

死刑囚のパラドックスとは

死刑囚のパラドックスは、「一週間以内の予期せぬ日の死刑執行」判決をめぐるパラドックスである。それはこんなふうな内容であります。 「囚人は有罪。よって一週間以内の予期せぬ日に死刑が執行されるであろう」 と判決が下った。 囚人が死刑の判決に打ちひ…

ロシアの森林火災

NASAの衛星写真が伝えるロシアの窮境(2010年08月02日)。 モスクワは雲煙に包まれている。煙の巾は1700KMにもおよぶ。 森林に延焼が拡大し、暑さと白煙に苛まれるロシア国民は気の毒としかいいようがない。 地中の泥炭にも火がつき消すこともままならな…

ロシアの数学者

ロシアの数学への貢献は目を見張るものがある。 お世話になったスミルノフの教科書もそうだが、盲目の解析学者ポントリャーギンは最適制御理論でも優れてい業績を残した。最適制御理論における最大値原理 (ポントリャーギン数学入門双書)作者: L.S.ポントリ…

「地獄ではすべてに値段がついている」

...と書きしるしたのは分子生物学者のシャルガフだ。 「う〜ん」と私は唸る。 1970年代に嫌世派の科学者が忌々しげに嘆いてから40年。今では、当時よりもはるかに値札があちこちに付くようになった。地獄に近づいたといえる。 なんとならば、金融や…

温暖化との意外な連関、見っけ!

地球温暖化が体感される2010年の夏だ。日本やNYでは酷暑日が続き、グリーンランドの氷山が動き出し、モスクワ周辺は暑さに加えて森林火災のダブルパンチだ。それらは、気象庁のこのサイトで週次での異常気象速報から見て取れる。 北半球ではアチコチが暑いよ…

犯罪捜査への高等数学の驚くほどの有効性

「NUMB3RS」という米国製連続テレビドラマがある。よく出来た緊密なプロットで、「数学」が仕込まれていながら幅広い視聴者を集めている。 兄がFBI捜査官、弟が天才数学者のコンビを組んで、犯罪捜査を行うという設定が、ユニークなのだ。 ほぼ一話完…

塚のつく知人

大塚さん、戸塚さん、小塚さん、平塚さん、西塚さん、石塚さん、貝塚さん、手塚さん、塚田さん、塚山さん、塚本さん、塚さんといろんな塚ピープルが同じ根源にコネクトしてます。 彼らはみな塚に関わる土地の出なのでしょうか。姓名学の事典作者: 平木場泰義…

代替医療の難しさ

サイモン・シンの「代替医療のトリック」(新潮社)は二つの点で瞠目されるべき書籍である。 第一に、一流科学ジャーナリストが「EBM」(ファクトデータに基づく医療)をもとに有力な代替医療を一刀両断したこと。 第二に、それにもかかわらず代替医療の評価…

原子力復権という隘路

原子力発電が見直されてきている。 「「原子力ルネサンス」の機運が高まる欧米や、原子力発電所の新規導入を目指す新興国での需要拡大に伴い、世界規模で原子炉メーカーによる受注競争が激化している。」電気新聞(2010年7月12日) 日本はインフラ輸出という…

人類の臨界状況メモ(2)

生存競争はおなじ生存条件(なわばり、食料、生殖など)をめぐる場所とりである。 ガウゼの法則(Gause's axiom)だ。同じ生存空間で類似な種が併存することが難しい。 1934年に、旧ソ連のガウゼが実験によって実証した生物学の原理の一つ。食物や生息域が同…