2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ワグナーの初期作品『妖精 序曲』

こんなワーグナー知らんかった。「リエンツィ」が処女作かと誤解していた。 きわめて古典的なワーグナー。 始まりはまっとうな共和派だったワーグナー。 ワーグナー (作曲家別名曲解説ライブラリー)作者: 音楽之友社出版社/メーカー: 音楽之友社発売日: 1992…

不幸なり!現代音楽と現代数学の連なり

松下眞一、もはやメディアの片隅にも語られることがない、かつての有名人。 現代数学と現代音楽を股にかけた俊才の作品は、その生みの親とともに時の沈殿のなかに埋もれている。 位相解析学と現代音楽、その両者の頂点に立つというのは、どこか寒々しい光景…

言語とその記述のバウンダリについての憶測

マッカロー・ピッツの定理というものがあり、それは神経回路網は論理回路としても作動するということと意味するらしい。これを拡張するなら、言語とはデジタルコンピュータにより完全に模倣されえるもの、つまり、言語とデジタル信号は等価であることになる…

ダンテ Divina Commedia

ダンテの『神曲』には多数の宝石のような詩句が煌めいている。 その詩的想像力はユリシーズ(オデュッセウス)のあるべく末路まで生み出している。ギリシア神話が伝えることのなかった英雄の末期を、だ。 ダンテの想念の物語によればユリシーズはヘラクレス…

Iannis Xenakis:ポリトープⅡ

1970年代の『知』への渇望と水準は2010年代のそれより野心的で高邁だったらしいですね。「エピステーメー」の時代でしたわ。 「危機」と「グローバル化」をつぶやく以外の何もできない現代人の意識の地平の狭さは、なんとも不幸なかぎりです。ヤレヤ…

バッハのコーヒー・カンタータ

統計学者ナイチンゲール

戦場の天使もしくはクリミアの天使、看護師の祖であるナイチンゲールが統計的センスで官僚と将軍たちよ戦ったのは、むしろ古典的な伝説になっているようだ。 統計学史上で、紛らわしいことに、もう一人、フロレンス・ナイチンゲールがいる。フロレンス・ナイ…