20世紀の半ばくらいに物理の基本定数である光速、電子の電荷、重力定数、プランク定数から無次元すを出してその数が宇宙を規定している、みたいな議論が一流の物理学者にフィーバーしたことがあったもんだ。
エディントンあたりがその創始者なのかもしれない。彼は一般相対論を実験的検証した天文学者として有名だ。
とくに微細構造定数がほぼ1/137で表されることに感銘を受け、エディントンは
(16X16-16)/2+16+1=137 という「理論式」を導き出した。
エデイントンの究極の目標は、新たに考案した数学を利用してさ宇宙の陽子と電子の数を導き、得れた結果を科学者たちが実験で得た結果と比較することだった。第一段階として、彼はE数から七つの基礎定数の組み合わせをいくつか作り、実際に測定された数値と比較した。とりわけ興味をそそられたのは、電子の電荷、プランク定数、光速の組み合わせから作ることのできる微細構造定数と呼ばれる基礎定数だった
微細構造定数は、現在では137ではなく、「137.035999139」となっている。
その逆数をαとすると基本定数からこのように表せる。
微細構造定数はゾンマーフェルトが水素原子のボーアモデルを相対論に拡張した時に出現した。
くりこみ理論なので収束性を与える。
でもって、ゲイリー・アダムソンという人が137について残した「偉業」を示しておこう。
φは黄金比である。
この試みはハイゼンベルクやパウリを含む多くの著名な学者を魅了した。
冷徹な物理学者たちも狂気に駆られることがある、そのいい例だろう。もっとも自分は同情的なのだけれども。
【参考文献】
パウリも137に魅入られた一人だったらしい。
137 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯
- 作者: アーサー・I・ミラー,阪本芳久
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偶然だが宇宙の推定年齢も137億年になっている。この数値はチョクチョク変わる。
- 作者: クリストファーロイド,Christopher Lloyd,野中香方子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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エディントンとアダムソンの話しはこのポピュラーサイエンス本が詳しい。
- 作者: ジョン・D.バロウ,John D. Barrow
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また、チャンドラセカールとの確執を扱った本がある
- 作者: アーサー・I.ミラー,Arthur I. Miller,阪本芳久
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