2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ピェット・ハインの優楕円

デンマークの思想家兼デザイナー、ピェット・ハインの優美な図形が「ピェット・ハインの優楕円」としてマーチン・ガードナーが日本に紹介したのは1970年代だ。その形状は簡明な式である。式1 係数を変えたバリエーションをくわえた、具体的な形状はこん…

ウラムの素数スパイラル(2)双子素数

前回のブログに続きウラムの螺旋に関連して、素数を調べてみる。 ウラムの螺旋をプログラムするのに、一手間もふた手間もかけた手前、可能性を絞り尽くしてみたい。そこで選んだのが双子素数をこのウラムの図に落としこんでみるという作業です。ウラム螺旋面…

ウラムの素数スパイラル(1)おまけ付き

スタニスラフ・ウラムはポーランドからアメリカに亡命した数学者。フォン・ノイマンの親友。 東京図書から『数学のスーパースターたち』という本が20世紀に翻訳紹介されていた。太平洋戦争中に、キラ星のごとくの数学者と物理学者らがアメリカに集合してい…

素数でゼロとなる関数

数論をかじった人ならご存知のウィルソンの定理は、こんなふうに定式化される。 そして、その性質を利用して数学者たちはこんな関数を定義しておきながら、実用性はないと弁解している。階乗が急速に増加してしまい、数値計算も何にも使えないのである。また…

愛国者ソルジェニーツィン

2008年8月、ロシアは真の愛国者を喪った。アレクサンドル・イサーエヴィチ・ソルジェニーツィン(享年89歳)である。 単にノーベル文学賞の世界的文学者というにとどまらず、旧ソ連の内情を知り尽くした反体制者であった。加えて(こちらのほうが重要だが)…

ヤコービ記号による平面カラーリングのトライアル

初等数論の平方剰余で出てくるヤコービ記号は、ルジャンドル記号の一般化である。平方剰余とは x^2==a(mod p)が解を持つ(平方剰余)か、そうでないか(平方非剰余)を判別することである。ルジャンドル記号(a/p)はpが素数でなければ計算不可だったが、ヤコ…

寺田寅彦の映画鑑賞Ⅳ

寺田寅彦のエッセイでの映画鑑賞はこの『映画雑感Ⅳ』でラストとなる。だが、晩年に至るまで様々な雑誌に映画評論を書きまくっている。 『麦秋(Our Daily Bread)』は全編YouTubeで鑑賞できる。1934年のアメリカ映画。若夫婦が生活を田園に求め、新天地…

自然数の逆二乗和の正方形

1,2,3、...無限大。ガモフの科学啓蒙書のタイトルではないが、自然数だけでもマカ不思議なことは山ほどある。 その一つがオイラーが解を与えた問題だ。 上記の無限和はπ^2/6となる。 そのバリエーションで、面白いことができる。交代級数でこちらも…

双子素数とソフィー・ジェルマン素数の視覚化

双子素数は(11,13)ような対を生み出す素数である。一応無限個あると予想されているが、証明はない。ソフィー・ジェルマン素数とは素数pに対して、2p+1も素数となる素数であり、これも対である。無限にあるかどうかは誰も知らない。 これを強引に視覚…

インターネットの商品情報エコロジー

ふつつかな観察によると「商品」にまつわるインターネットでの大まかな情報の流れはこうなる。 発売前「プレスリリース」の段階では、メディア系のニュース・雑誌系サイトでいわば意図的リークで消費者の好奇心をあおる。 発売の直後の期間がもっとも「商品…

リゲティと円のアラインメント

古い現代音楽の巨匠リゲティの数学向け楽曲「Volumina」を聴きつつ、数理的な円の戯れに耳をすまそう。 $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ 今回はスタイナーの定理などでおなじみの「反転」をもち…

双子素数と完全循環素数のAND

3と5のような「2」離れた双子素数が無限にあるかどうか未解決である。一方、逆数1/pの小数展開がp-1桁でくり返す循環小数となる「完全循環素数(レプテンド)」は双子素数より数ははるかに多いが その素数に対する比率の極限はアルティン予想で約3割とさ…

ガウスの双子素数

複素平面上で定義された整数をガウス整数という。そこで整合的な数体を構成することが可能であり、素数も定義できる。 ガウス素数である。WIKIに従えば、こうなる。 ノルムが 2 であるもの。すなわち、1 + i, 1 − i, −1 + i, −1 − i の4つ。 ノルムが 4n + 1…

ハーブ・アルパートで疲れた脳を休める

正八角形のラインダンス

穴埋めマンネリの正多角形(正八角形)と等角写像の組み合わせシリーズです。 八角形は安定したフォルムなため、わりと均整のある造形が得られた(いや悪魔で趣味の範囲で均整がとれているだけですが)単純なやつから複雑なやつにと並べてみた。 いくら複雑…

正三角形のラインダンス

正三角形の自動生成と等角写像を組み合わせたマンネリズム的パターンのギャラリーです。 関数と三角形の位置・間隔を変更するだけでウンカのようにパターンを排出します。 どれも正三角形は変形しているが三角形ではある。配置は範囲変数に依存して様相が変…

リゲティの『レクイエム』

『2001年スペース・オディティ』で猿人たちを解き放つモノリスのシーンをつつみこむ曲だ。

複素ワールドのクロップサークル

現代音楽の古典 シュトックハウゼン

シュトックハウゼン『若人の歌』を演奏会で鑑賞する機会はあるまい。 だからこそ、聴いておこうではないか。まことに古い「現代音楽」の名作を! なんとはなしに、みずみずしい情緒が空間に瀰漫するのだ。

格子点上のサークル(最終)

実のところ、この格子点上のサークルは、ミステリーサークル(CropCircle)に触発されて計算している...のではない。本当のハナシ、フォード円と和算の算額のある種の円の接点模様に影響されたというべきであろう。 フォード円とはファレイ数列の視覚化の…

格子点上のサークル3

第三弾。このシリーズでは円を自在に配置して遊戯してます。誰も期待しない格子点上の円の配列です。 自然数ペア(m,n)とその両者のGCDを半径するのを基本にして、円の織りなすアラベスクを鑑賞してます。 さて、今回は奇数対が織りなすパターン。1から1…

格子点上のサークル2

先日の「格子上のサークル」に引き続き、格子点(自然数の対(m,n))に円を配列し、図示するお遊戯はかなり奥が深いので再々計算してみた。 計算ルールと円の条件のフィルタリングを拡張しただけで、様々なパターンを編み出せるようになる。半径とするGC…

格子点上のサークル

承前:格子点(自然数の対(m,n))を図示するお遊戯の継続である。 m,nそれぞれを第一象限で示す。0と50までの組み合わせで2500点ある。 互いに素となる対だけにするとマバラになる。 さて、これらの天上に円(サークル)を割りあてる。ただ、…

フロレンス・ナイティンゲール伝抄

看護婦の始祖であり現代の偉人伝に欠かせない人物、フロレンス・ナイティンゲールの伝記は多くの人が知るところだ。 伝記作家として一流のリットン・ストレイチーの著書と統計学史から幾つか興味ある事実を拾い上げてみよう。彼の伝記には淳風美談だけではな…

マイニングによる異常検知のモラルリスク

国家が情報監視テクノロジーを駆使する。そうした事態はアメリカでは日常茶飯事である。一般向けの解説本(後述する)まであるくらいだ。これはつまり、監視体制側は解説本などより進んだテクノロジーをもっていることを意味する。 9.11テロを貴重な教訓…

アナタに微風を

Breezin'アーティスト: George Benson出版社/メーカー: Warner Bros / Wea発売日: 1994/08/22メディア: CD購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る

多面体を平面に写す

先回には「無限遠をかいま見る」と題して、平面上の直線や曲線を3次元単位球面に写像した。 その応用で、単位球面に内接する正多面体を平面に投映してみよう。 考え方は以前と逆である。 1)単位球面に多角形の頂点を内接させる(図の緑の点) 2)(0,0,1…

キャサリン・マンスフィールド

イギリスの閨秀作家キャサリン・マンスフィールドはご存知か。 「わたしを透明にしてください」と日夜祈り、創作に励んだ彼女の短編の多くは優れた日本語で読める。 代表作は「園遊会」「蝿」「ミスブリス」だという。同世代のバージニア・ウルフとは自他共…

寺田寅彦の映画鑑賞Ⅲ

寺田寅彦のエッセイ「映画雑感Ⅲ」で論及している『Poil de Carotte(にんじん)』(1932年)フランス映画を掘り出すことを得た。 寺田はこの映画の出来をきわめて褒めているので、それだけでヨシとしよう。YouTuneで1から9まで 揃いで鑑賞できる。最初…

無限遠をかいま見る

数学者という種族は好奇心が強いらしく、19世紀には無限遠をのぞき見るメカニズムを開発している。 二次元平面でそれを視覚化してみよう。二次元平面でも直線や2次曲線などはx→∞で、無限〜ん〜んに伸びている。これを無理やり視覚化するために、彼らは3次元…