連分数のグラフ論的表現の試み

 連分数はnaturalな表現である。つまり、確定的であり一意的に表示できる。
円周率を例にとると

のようにユークリッドの互除法を用いて、確実に展開を続けてゆける。
なので、超越数のたぐいはどこまでも展開され、そのパターンによって無理性が証明されたりもする。

円周率の連分数展開をその数字の出現の列として並べと、上の例では

 3, 7, 15, 1, 292, 1, 1,....

となるのが、さらに続けると。

3, 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2, 1, 3, 1, 14, 2, 1, 1, 2, 2, 2, 2, 1, 84, 2, 1, 1, 15, 3, 13, 1, 4, 2, 6, 6, 99, 1, 2, 2, 6, 3, 5.....

 1や2が多発し、292や84が脈絡なく出現したりする。超越数なので数字の出現の完全な規則性はないけれど、規則ではないが神秘的な出現の様式に特徴があるかもしれない。

 比較のために、ネピアの数、自然対数の底 eではこうなる。

2, 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, 1, 8, 1, 1, 10, 1, 1, 12, 1, 1, 14, 1, 1, 16, 1, 1, 18, 1, 1, 20, 1, 1, 22, 1, 1, 24, 1, 1, 26, 1.....

 こちらも円周率と同じく超越数ではあるけれど、 円周率の数列よりは幾分なりとも何か、パターンがありそうになっている。


 ここでの試みは各数字のあとにどんな数字がでるか、を視覚化するものだ。
 円周率では3の次に7、7の次に15というように数列が続く。これらの並びを相互関係だけに着目して可視化する。
 まず、40桁くらいまでグラフ論的な表現を適用してみる。

このままではパウル・クレーの習作みたいな感じで意味がないので、ノードに数字を付け加える。


 1と2を節点に数種類の数が生み出されている模樣が見れる。

eについては規則性が出現する。100個までの連分数を表現してみると1と偶数が生成されているのがわかる。


これは(e-1)/(e+1)の連分数をみれば一目瞭然となる。

0, 2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162,....

完全な規則性が出現する。ランフォードはこれを用いてeの無理数であることを証明したとか、しなかったとか。



オイラーの定数γの100個までの連分数。

2の対数 すなわちLog(2)