コンラート先生いわく、「ゼノンのパラドックスは古今東西の逆説のなかでも最も基本的でありながら、最も過激な結論(この世すべてはone-nessだ)を導く。しかもいまだまっとうに解決されていない。
そうしたことにこだわるヒトは少数派だというのは知っているし、大半の人たちが無視しているのもやむを得ないと思う。
でもね、みっちゃん。
そのパラドックスを地でいくような現象が量子の世界に存在するとなるとちょっと違うのでは。さらに量子ゼノン効果でゾンビを生成する試み(思考実験段階だが)があるのはご存じであろうか。」
臨時別冊数理科学 2010年1月号 多彩な量子の世界 ― その広がりに映し出される発展と深化 ― 2010年 01月号 [雑誌]
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そうですわ、コンラート先生。
ご存知のように死は不可逆であります。心拍が止まり一定時間フラットラインが続いた後に生き返ることはありえないでしょう。
I agree.コンラート先生。 たまには戻ってきて「臨死体験=NDE」を報告してくれるヒトもいますが、それは奇特で危篤なことです。
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そうだよ、みっちゃん
そもそもシュレディンガーの猫からして、箱入りゾンビをつくりだす方法論だと考えることは出来ぬだろうか?
だって、観測する直前まで毒ガスで死んでいるか生きているか分からない猫なわけだろう。それは死んだ状態と生きている状態の重ねあわせなわけだ。このハンパな状態こそゾンビそのものじゃないか!
それにヒトの生き死にさえも観測するまでは、どちらか分からないことなんてザラじゃないですか!
かつての幼稚園の同級生なんか、その典型じゃないでしょうか。長い間、お互いに連絡出来ないがゆえに、生きてるか死んでるか分からない。
うまい例えだね、みっちゃん。
量子ゼノン効果をおさらいしておくと定義はこうだ。
(パリティ編集部 先端物理辞典より)
量子力学の基本原理を,放射性原子核の崩壊などの現象に素朴に適用すると,原子核が崩壊したか,していないか,を測定することにより,その原子核の崩壊が遅くなるという奇妙な結論となる。
これと同様な状態をもって生死の状態をさまようヒトをシュレディンガーの猫状態におく。つまり、完全隔離な生命維持装置内にいるとしよう。生命が崩壊=死に至りそうになると「観測」する。その結果、死が遅延するのである。
意識は量子過程とするペンローズの仮説が正しければ、その量子過程に観測という干渉を加えてやればいい。そうすれば、生き死にが分からないゾンビ状態になるのだ。シュレディンガーの猫とはゾンビ状態であるというのが吾輩の独創的な学説なのである。
でも、「観測」とはどんな行為なんでしょうか?コンラート先生。
とっ、とても良い質問だ、みっちゃん。それは次の機会に説明するとして...
ところでグリピンのこの本で、「バナッハ・タルスキー逆説&定理」の素粒子論における登場が自分には新鮮な驚きだったのだ。
- 作者: ジョングリビン,John Gribbin,桜山義夫
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