精神病というとマイナスイメージばかり浮かんでくる。良からぬこと排除されるべきものと差別の対象にされてしまう。
けれど、心の病は決して悪いことじゃない。むしろ異常事態への正常な反応だってことだとしてもいいんじゃないだろうか。竹内外史によれば、論理学者ゲーデルの不完全性定理は、
自分自身がおかしくないことは、自分自身では証明出来ない
現代人はおかしい、変調をきたしている。けれどそれを強硬に証明しようとすると逆に精神病と診断されて、抗うつ薬を飲まされしまう。
それをちょっと増幅した表現として、病んでるからこそ創造的なこともある。
ヒサビサにヤスパースの病跡学的伝記「ストリンドベリとゴッホ」を読み通す。ゴッホの異常さは永遠の美を生み出した。
やはり、そうだ!ここには素朴ながらワシの考えの端緒がある。それはネガティブのポジティブな評価だ。
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ヤスパース選集〈36〉ストリンドベリとヴァン・ゴッホ (1980年)
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従来、精神病とはねえ、欠陥とされた特性の逆用。積極的援用なのだ。シューペンハウエルの悲観主義哲学をおのれの楽劇の糧にしたワグナー。彼は他人をだまかすことなどは屁と思っていなかった。
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実はこうした考えはラファティのSF短編「素顔のユリーマ」が雄弁に説いたことである。
病んだ貝から真珠が生まれる。正常人はただの凡人でしかなくて、病んだ人たちのカモでしかないとラファティの主人公は気づく!!
アウトサイダーアートはここには狭くて書ききれないほどの衝撃があり、思いがある。
大ぼら・嘘・犯罪・スカトロジー・死や暴力・戦争などがもっと正当に扱われないと人間精神は枯死してしまう。
そんな中でも精神病は、病的な社会への正常な反応という側面もあり、日常性の解剖学でもある。最近は人びとの気合がうせたか、真面目になりすぎたか、考えがワンパになったかで、60年代のように多様な見かたがなくなってしまった。それらの主張が正しかったわけではないが、「コンバイン」に抗議する声が聞かれなくなるのは人間性の衰弱であるような気がする。これらの動きは、どうやら精神医学療法がすべて精神薬の処方になっゆくのとほぼ同伴している。
もはや滅び去ったが、このようなカウンター医学というは夢と人間性があった。カウンター医学の以下が参考書だ。どうか人間性高揚のための抗議と多様性は維持していきたいものだ。
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