インターネットの商品情報エコロジー

 ふつつかな観察によると「商品」にまつわるインターネットでの大まかな情報の流れはこうなる。

 発売前「プレスリリース」の段階では、メディア系のニュース・雑誌系サイトでいわば意図的リークで消費者の好奇心をあおる。
 発売の直後の期間がもっとも「商品」の売れ行きを左右すると見て間違いない。
 Twitterははじめから反応するが、はじめの段階では初期ブロガー(とくに影響力があるアルファブロガー)の反応を注視することが重要だろう。
 販売チャネルであるECサイトがそのうちユーザコメントを市場にフィードバックし始める。コメント内容は大半は当たり障りがないが、ユーザの声として無視できない。コメント数は重要だろう。
 そして、ソーシャルメディアであるSNSが一般ブロガーと同じ時期に反応を見せ始める。SNSはコミュニティがある。そこでの集団的レスポンスはかなり入念に把握することが肝要だ。
 そうこうするうちに中古市場に商品が流れだす。中古でのユーザコメントなども見逃せない。
 肝心なのは発売直後までの話題の喚起=一般ネット視聴者での注目度をどこまで高められるかであろう。そのための「仕込み」が今日のマーケティング担当者の腕の見せ所だ。twitterYouTubeでどれほど表出度をあげられるかも鍵になろう。

 こういった流れで「口コミ」が湧き上がり、そして拡散し、売上に大きな影響を及ぼす。インターネットでの口コミがどう維持できるかが、世の販売担当者の関心事となるのは当然だろう。
時には不発で忘れ去られることもあるが、クレーム・不満・消費者の反発の爆発よりはましであろう。

実際には、テレビ・雑誌・新聞などを加えた相関図を描きたいところだが、力不足であるし、データ不足なのだ。
それが明らかになると、効果計測が段階に応じて可能になろうし、その時点時点で販促手段が可能になるだろう。
商品情報の循環を視覚化する「情報エコロジー」のようなことが実現できるだろう。


【参考書】
 『メディアエコロジーと社会』は本論の参考となった。もちろん「エコロジー」なる言葉はこの著作からの借りもの。マスメディアや携帯などの基本調査をしっかり踏まえており、ブログやYouTubeなどCGMを除けば、市民=消費者の全体像を把握できるようなっている。
 ネットでの口コミ/情報伝達の詳細な経路のリサーチや他メディアとの相互関連や動的構造については著者らの今後の研究に期待したい。ソーシャルメディアは本書の出版後に顕著になったのだだから。

メディアエコロジーと社会

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