格子点上のサークル(最終)

 実のところ、この格子点上のサークルは、ミステリーサークル(CropCircle)に触発されて計算している...のではない。本当のハナシ、フォード円と和算算額のある種の円の接点模様に影響されたというべきであろう。
 フォード円とはファレイ数列の視覚化の一種であり、x軸上にそって接する円を続々と生成する方法である。こちらを参照されたい。

 算額には円を扱う問題が多く含まれておりその幾つかはこのサイトでも見れる。
 →「和算の館
 江戸期の数学者はなんというか、円が好きだったとしか言いようがあるまい。島国をあげて、円に恋していたのだろう。安島直円という和算家がいた。「円理」と関和孝は自分の方法を呼んだ。和算家は円周率の計算にも執着心が強く、和算の主流なるテーマのひとつは円周率の精密化だった。

 閑話休題。そういうわけで隣り合う円を相互に外接できるような有理点と半径のルールを探求してみたのだが、試行錯誤のあげく到達したのは、ピュタゴラス・トリプレットであった。

ピュタゴラス・トリプレット(m^2−n^2、2mn)を中心として、半径(m^2+n^2)の組み合わせとして、m,nを整数とすると各円は外接するように平面を埋め尽くせるのである!
 管見の範囲では、本案はピュタゴラス・トリプレットのはじめての円による視覚化だと思われる。コンウェイ&ガイの本にもないしね。*1


 この手の文様としてはきわめて規則正しく端正なたたずまいのパターンである。
つまりはピュタゴラス学派の「世界は数だ」的な表現ともマッチするのであろう。
もっとも古代数学史ではピュタゴラス・トリプレットについては、バビロニア数学では(一般式は知られていたかどうか不明だが、3,4,5のような部分的な組み合わせは)既知の事項であったとしている。
 世界を数で形成したのが神であるならば、数の世界を通じて神と交信することが可能やもしれない。実は、この眼形を眺めていると神の瞳を覗き込んでいるような気分になるのだが、それは私だけであろうか。



最後に、範囲を拡げて2500点の円紋様を提示して締めとする。
        貴君には神の瞳が見れるだろか?

                                                                                                                                                          • -

数の本

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日本で数少ないピタゴラスの定理の網羅的紹介本

ピタゴラスの定理 (TOKAI LIBRARY)

ピタゴラスの定理 (TOKAI LIBRARY)

*1:大矢真一の本にもガードナーその他の本にもないしね