ウラムの素数スパイラル(1)おまけ付き

 スタニスラフ・ウラムはポーランドからアメリカに亡命した数学者。フォン・ノイマンの親友。
東京図書から『数学のスーパースターたち』という本が20世紀に翻訳紹介されていた。太平洋戦争中に、キラ星のごとくの数学者と物理学者らがアメリカに集合していたのを知り、憧れるやら呆れるやらした記憶がある。

 その彼が計算機実験を併用しつつ発見したのが、素数の螺旋模様である。
中心に「1」をおき、左回りに自然数をおいてゆくのだ。

すると対角線、あるいはそれと平行な線上に素数が群生するのを見出したのである。
50×50で実施する。青丸が素数で赤丸が素因数分解できる数だ。

でもなんだか、色弱の検査みたいで疲れるイメージだなあ。

視覚的に見えやすく進化させて100×100で白丸が素数、それ以外が青丸。原点に赤丸を置く。

250000までのウラム螺旋を表示する。何十時間もかかった。


【おまけの例題】コラッツの数列をこれに重ねてみよう。
 コラッツの問題というのは、xが偶数なら2で割り、奇数なら3倍して1をたす。これを繰り返すと
「1」となる。それはすべての数でそうなるか?
 この問題にはエルデシュも匙を投げて、現代数学がまだ未熟な証拠としたそうだ。

獣の数字「666」でのコラッツ数列はこうなる。
{666, 333, 1000, 500, 250, 125, 376, 188, 94, 47, 142, 71, 214, 107, 322, 161, 484, 242, 121, 364, 182, 91, 274, 137, 412, 206, 103, 310, 155, 466, 233, 700, 350, 175, 526, 263, 790, 395, 1186, 593, 1780, 890, 445, 1336, 668, 334, 167, 502, 251, 754, 377, 1132, 566, 283, 850, 425, 1276, 638, 319, 958, 479, 1438, 719, 2158, 1079, 3238, 1619, 4858, 2429, 7288, 3644, 1822, 911, 2734, 1367, 4102, 2051, 6154, 3077, 9232, 4616, 2308, 1154, 577, 1732, 866, 433, 1300, 650, 325, 976, 488, 244, 122, 61, 184, 92, 46, 23, 70, 35, 106, 53, 160, 80, 40, 20, 10, 5, 16, 8, 4, 2, 1}

発散しそうで、やがて「1」になってしまうのだ。
これをウラムの螺旋平面に順番にマップしてみよう。


「731」を次の実行。単体での遷移を示す。

これは次のような数列である。
{731, 2194, 1097, 3292, 1646, 823, 2470, 1235, 3706, 1853, 5560, 2780, 1390, 695, 2086, 1043, 3130, 1565, 4696, 2348, 1174, 587, 1762, 881, 2644, 1322, 661, 1984, 992, 496, 248, 124, 62, 31, 94, 47, 142, 171, 214, 107, 322, 161, 484, 242, 121, 364, 182, 91, 274, 137, 412, 206, 103, 310, 155, 466, 233, 700, 350, 175, 526, 263, 790, 395, 1186, 593, 1780, 890, 445, 1336, 668, 334, 167, 502, 251, 754, 377, 1132, 566, 283, 850, 425, 1276, 638, 319, 958, 479, 1438, 719, 2158, 1079, 3238, 1619, 4858, 2429, 7288, 3644, 1822, 911, 2734, 1367, 4102, 2051, 6154, 3077, 9232, 4616, 2308, 1154, 577, 1732, 866, 433, 1300, 650, 325, 976, 488, 244, 122, 61, 184, 92, 46, 23, 70, 35, 106, 53, 160, 80, 40, 20, 10, 5, 16, 8, 4, 2, 1}

ウラムの螺旋にオーバーラップするとこうなる。

ジタバタした挙句に原点に收まるのがわかる。最後の審判の前に大暴れする悪魔の行為に似るか。



【教訓】子供のいたずら書きから、専門的な研究が生まれることもある。