ピェット・ハインの優楕円

 デンマークの思想家兼デザイナー、ピェット・ハインの優美な図形が「ピェット・ハインの優楕円」としてマーチン・ガードナーが日本に紹介したのは1970年代だ。その形状は簡明な式である。

式1

 係数を変えたバリエーションをくわえた、具体的な形状はこんなものである。

これを道路のロータリーや食卓の形状などにハインは適用して、成功をおさめた。あまり丸過ぎもせず
とんがりもしない柔らかな曲がり具合として、指数=5/2が適しているようなのである。
3次元版はこうなる。z軸回りに回転対称な優楕円を描いた。

 ここでガードナーの『数学カーニバル』の原文はこの形状が力学的に安定かどうかを問うている。

 重心の位置に着目して、式1での安定性を考える。
U(a,b,x)を重心の位置がx軸にx度だけ傾いたポテンシャルエネルギーとする。

これが静的に安定かどうかはxで一階微分して、x=0の値がゼロであれば安定となる。計算すると確かに、そうなる。
 では、動的に安定かどうかとなると、xで二回微分して、正であれば安定なのであるはずであるが、確かに、a,bどのような組み合わせでも正になるのだ。
 ガードナーの解説でも動的に安定としている。う〜む、形状的にはそうも見える。なにせガードナーは優楕円の卵を持っていたのだから。


数学カーニバル (1977年)

数学カーニバル (1977年)