無限遠をかいま見る

 数学者という種族は好奇心が強いらしく、19世紀には無限遠をのぞき見るメカニズムを開発している。
 二次元平面でそれを視覚化してみよう。二次元平面でも直線や2次曲線などはx→∞で、無限〜ん〜んに伸びている。これを無理やり視覚化するために、彼らは3次元球面への写像を編み出した。

 説明しよう。
 平面上の点(x,y)とする。原点を中心とする単位球面のz軸の頂点(0,0,1)とその点(x,y)を結んだ直線を考える。するとその直線と単位球面は必ず交点がある。1:1であり、等価な集合である。無限遠点もそうだろうと数学者は考える。するとどのような平面上の集合族もこの球面に写像できるわけである。
赤い点がz軸の頂点、緑の点が平面上の点(x,y)、そして、青い点が球面上の対応点である。
平面上の点で単位円の内側はz軸の負に投射され、単位円の外側はz軸の正に投影される。
 まことに玄妙なる仕組みである。*1

 これを駆使するとどうなるかを図示しよう。
 y=xという直線はこうなる。リングだ。
無限遠点を通り抜けて、もとの点に回帰するかのようだ。

 y=X*X 二次関数も回帰するのだが、ハート型に戻ってくる。
人類への愛がこめられているのかもしれない。

 正接関数(tan)はx=(2n+1)π/2でに発散する。無数回に発散するが、球面上ではうずまき形状になっている。
無限遠点に何度でも回帰し、x軸に舞い降りてくる。

 いやなんとも、初等関数にしては、甚だ回りくどい出現のしかたである。
もう少し可視化範囲を広げてみると何が起きているかを理解できる。中央の球が単位球である。関数tanはプラマイの無限大へ往還する。

関数xtan(x)ではこうなる。

5次関数y=x^5はこうなる。

双曲線y=1/xではこんなようだ。無限大の記号を描くのがカワイイ。

極座標でr=θとなる等角螺旋と対数螺旋r=1/θ

 こうした関数で無限の彼方でどうしているか知りたいものがあれば、ご教示いただければ幸いであります。

*1:本来、この方法は複素平面と球面の対応関係であった。それは大きな発展をもたらした。ここではxy平面にこだわる