4次曲線と2次曲線の交点から三次元への拡張

 簡単な例からスタートします。

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4次の閉曲線と半径rの円との交点からです。実数解にはrに制約がつきます。

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 この条件での解は以下になります(小さくて読めないかもしれませんが雰囲気だけでも)

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 8つの解があるわけです。f:id:Hyperion64:20210208194022j:plainでの計算結果を図示します。青い点が交点で、青い線が4次曲線ですね。

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円と4次閉曲線との交点

つぎに、3次元空間に拡張します。途端に計算量が膨れ上がります。

ターゲットの方程式はこうなる。4次閉曲面と半径dの球であります。

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 dが適切な範囲にあれば、3次元空間で下図のような合成が生まれる。

ちなみに、この4次閉曲面は小惑星の「リュウグウ」に似ている。

 

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 この両者の面の交線の式をできるたけ一般的に導出するのが、目標になります。上の図では球の膨らみと平面状の境界線を式にすることです。

交線の座標を(p, q, r)としましょう。上の連立方程式を書き直してあげます。

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上の第一式から、下式が誘導できます。

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そして、パラメータwを追加して、

    f:id:Hyperion64:20210208202858j:plain

 これでp,q,rについての基本対称式が3種類セットできました。根と係数の関係より三次方程式をたてます。       

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よって、こうした三次方程式の根がp^2, q^2, r^2になるわけです。

 この根の一つを示します。p^2などの二乗した根Xの解であります。

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ここで f:id:Hyperion64:20210208204129j:plainが繰り返し出ているのに注意して、この式=0で

wを決める。wは任意の変数だったのだ。

  こうして、dによるp^2, q^2, r^2の表現が定まった。

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第二式は正でなければならないことを利用するとdの動かせる変域が出せる。

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具体的には、 1.15829 <= d <= 1.31607 となる。

なぜ、d=1が含まれないのであろうか?  いい質問です!

 実は、wの設定が恣意的だったためであることが判明している。wとdの可能変域は、きわめて入り組んでいるのであります。三次方程式の根号内が正であるというのが、正確な条件です。

 

【参考文献】

 

じっくり学ぶ曲線と曲面―微分幾何学初歩

じっくり学ぶ曲線と曲面―微分幾何学初歩