知る人ぞ知るマーティン・ガードナーの1975年のエイプリル・フールにExp[π √163]が、自然数であるというのがある。M.ガードナーは数学パズルと科学啓蒙家である。
自分などはその影響下にまだあるのだが、どういう意味かを明らかにするために具体的な値を示しておく。
262537412640768743.99999999999925007259719818568888...........
なんと、小数点以下に9が12個連続する。
この数がモンスター群でも重要な役割を果たすのは、『シンメトリーとモンスター』を参照されたい。
この163の発端は二次体の代数的整数論にあったようだ。実はヘーグナー数という二次体で重要な9個の数がある。
-1,-2,-3,-7,-11,-19,-43,-67,-163
この負数から創られる代数的数体(負側)でのみ、因数分解が一意的になることが証明されている。
オオトリの 163 すごいなのであります。
そして、Eulerの素数生成二次式 x^2-x+41とも関係する。
ことのついでに、163にまつわる、おかしな現象をル・リヨネの本から拾い出しておこう。
自然対数Logと円周率と自然数を組み合わせた式だ。驚くことに数値はこうなる。
163.00000000000000000000000000002321677794245334107
0が29個だ。
よく見れば、実のところ、上のeの式を逆に書いただけだ。
うむ、これもエイプリル・フールに使えるかもしれない。
【参考文献】
マーク・ロナンの数学案内。有限群論に関する解りやすい本。この分野の研究者は絶滅危惧種なんだろうね。有限群論の分類は解決済みだから。
ひと握りのマニアにとっては比類なき良書だな。ちくま学芸文庫あたりで復刊を期待したいです。