ガウス整数における素数逆数和の性向

 ガウス自然数以外の整数、正確には代数的整数を考えた。つまり、複素平面での整数を考えついた。その代数的整数は実部も虚部も整数である。

その素因数分解とその一意性を証明してみせた。その代数的整数での「素数」を世界で始めて示したわけで、それが今日まで研究されている代数的整数論の始まりとなるわけだ。ワイルズフェルマー大定理の証明も高木貞治類体論もその延長上にある。

 どんな複素数ガウス整数の素数であるかというと、

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 自然数体での5は素数だが、ガウス整数では素数ではない。(1+2 I)(1-2 I)と因数分解されてしまうからだ。

 ここでは、絶対値がn以下でこれらのガウス素数を切り出して、その逆数和(逆二乗和)を追跡してみたい。

 はじめにイメージを示そう。絶対値nが100以下のガウス素数は4928個ある(下図)

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 下式を計算するのだ。ここでpはガウス素数だ。また、絶対値の逆二乗である。絶対値をはずすとお互いに相殺してゼロになってしまう。          

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これはおおよそ9.1875となる。n=1000まで数値計算してみると飽和傾向がある。

その値は10.7978ほどである。個数は313752ある。

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n=4000まで計算進めてみたが、11.5346であった。おそらくは収束するのだろうが、何らかの厳密表現があると嬉しいのだが。

 残念ながら、こうしたマイナーな数値計算は手元の数学書にもなかったし、てすさびではあるが興味がなくもない課題だと考える。

 

 参考までに自然数での1000未満の素数は168個あり、その逆二乗和は0.45212だ。こちらは確実に収束することがわかっている。

 

【参考文献】

 監訳者である数学者の一松信氏はご健在のご様子である。