この数は2組の3乗数の和で2通りに表示できる最小の数だ。もちろん、それだけで有名になるはずもなく、G.H.ハーディが残してくれたエピソードに拠るところが大だと思う。
「ラマヌジャンには特異な数についての超人的な能力があった。.....彼が入院している時に見舞いにいった。その時につかったタクシーのナンバーが1729だったので、どうでもいい数だと彼に話すと『それは面白い数だよ。2組の3乗数の和で2通りに表示できる最小の数だ』...」
そこでハーディは「4乗和でこうものを知っているかと聞くと、...わからないが途轍もなく大きい数だろうと答えた」と続く。
これで一躍、1729は数のなかのスターになったわけだ。この性質の第一発見者はオイラーの同時代人のフレニクルだという。
ラマヌジャンのエピソードを初めて知ったのは学生時代に小松左京らの鼎談集『人類は滅びるか』という本でのこと。
その元ネタの『一数学者の弁明』を読んだのは数年後だった。
2乗和を書き出しておこう。
ところで、四乗和で二通りの表現になる最小数はなんだろうか。これに答えてくれたのは、オイラーだった。漫画の言いぐさであるが、億超えのルーキーである。
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その4乗和の表現はこうなる。
ハーディの質問にはオイラーがすでに答えていたわけだが、ラマヌジャンの能力はオイラーの能力にすごく似ているようだ。解析学に関わる異常な推論能力と数の計算力が共通であろう。
【参考文献】
ここで引用した書籍はどれも古本化しているようですね。ハーディとD.ウェルズの本は復刊する価値があると思われます。