Euler φの反復適用の実験数学

 初等整数論で出てくるオイラーのφ関数は、1からn-1までで自然数nと共通約数がない数の個数を示す。φは重要な役割を整数論で担うことがより進んだ理論(有限体など)で判明する。暗号論では必須の整数論的関数だったりもする。

 ここでは実験数学での気ままなお遊びであると理解していただきたい。

 まず、φの動作確認から。

素数pなら、φ(p)=p-1となるわけであります。

φ(6)=2  なぜなら、1,5だけが6と共通約数がない。

 これを繰り返し適用したら、どうなるであろうか?

    φ(φ(6))=1      φ(φ(φ(φ(φ(72)))))=1     

というように、いくつか計算してみると最後には1になるようだ。

 巨大なメルセンヌ素数 2^17-1=131071もこうだ。

131071, 131070, 32768, 16384, 8192, 4096, 2048, 1024, 512, 256, 128, 64, 32, 16, 8, 4, 2, 1

 

 この反復回数を n=1-200 までで、カウントしてみた。

 {n、反復回数} のペアを示す。

 {1, 0}, {2, 1}, {3, 2}, {4, 2}, {5, 3}, {6, 2}, {7, 3}, {8, 3}, {9, 3}, {10, 3}, {11, 4}, {12, 3}, {13, 4}, {14, 3}, {15, 4}, {16, 4}, {17, 5}, {18, 3}, {19, 4}, {20, 4}, {21, 4}, {22, 4}, {23, 5}, {24, 4}, {25, 5}, {26, 4}, {27, 4}, {28, 4}, {29, 5}, {30, 4}, {31, 5}, {32, 5}, {33, 5}, {34, 5}, {35, 5}, {36, 4}, {37, 5}, {38, 4}, {39, 5}, {40, 5}, {41, 6}, {42, 4}, {43, 5}, {44, 5}, {45, 5}, {46, 5}, {47, 6}, {48, 5}, {49, 5}, {50, 5}, {51, 6}, {52, 5}, {53, 6}, {54, 4}, {55, 6}, {56, 5}, {57, 5}, {58, 5}, {59, 6}, {60, 5}, {61, 6}, {62, 5}, {63, 5}, {64, 6}, {65, 6}, {66, 5}, {67, 6}, {68, 6}, {69,6}, {70, 5}, {71, 6}, {72, 5}, {73, 6}, {74, 5}, {75, 6}, {76, 5}, {77, 6}, {78, 5}, {79, 6}, {80, 6}, {81, 5}, {82, 6}, {83, 7}, {84, 5}, {85, 7}, {86, 5}, {87, 6}, {88, 6}, {89, 7}, {90, 5}, {91, 6}, {92, 6}, {93, 6}, {94, 6}, {95, 6}, {96, 6}, {97, 7}, {98, 5}, {99, 6}, {100, 6}, {101, 7}, {102, 6}, {103, 7}, {104, 6}, {105, 6}, {106, 6}, {107, 7}, {108, 5}, {109, 6}, {110, 6}, {111, 6}, {112, 6}, {113, 7}, {114, 5}, {115, 7}, {116, 6}, {117, 6}, {118, 6}, {119, 7}, {120, 6}, {121, 7}, {122, 6}, {123, 7}, {124, 6}, {125, 7}, {126, 5}, {127, 6}, {128, 7}, {129, 6}, {130, 6}, {131, 7}, {132, 6}, {133, 6}, {134, 6}, {135, 6}, {136, 7}, {137, 8}, {138, 6}, {139, 7}, {140, 6}, {141, 7}, {142, 6}, {143, 7}, {144, 6}, {145, 7}, {146, 6}, {147, 6}, {148, 6}, {149, 7}, {150, 6}, {151, 7}, {152, 6}, {153, 7}, {154, 6}, {155, 7}, {156, 6}, {157, 7}, {158, 6}, {159, 7}, {160, 7}, {161, 7}, {162, 5}, {163, 6}, {164, 7}, {165, 7}, {166, 7}, {167, 8}, {168, 6}, {169, 7}, {170, 7}, {171, 6}, {172, 6}, {173, 7}, {174, 6}, {175, 7}, {176, 7}, {177, 7}, {178, 7}, {179, 8}, {180, 6}, {181, 7}, {182, 6}, {183, 7}, {184, 7}, {185, 7}, {186, 6}, {187, 8}, {188, 7}, {189, 6}, {190, 6}, {191, 7}, {192, 7}, {193, 8}, {194, 7}, {195, 7}, {196, 6}, {197, 7}, {198, 6}, {199, 7}, {200, 7}

 

 反復回数はギクシャクしながら、どれもこれも1になっている。類似の問題としてあのコラッツの問題がある。どのような自然数もある操作の反復で1になるという点で類似だ。

 こちらはコラッツの問題より素早く1になるようだ。また、コラッツの問題と異なり、1になることの証明は簡単であろう(自分にはその能力ないけど)

 

 オマケ特典としてn=1~1000で反復回数の推移をグラフ化しておこう。

 

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オイラーφの反復回数

 

【参考文献】

 好き者しか読者にならないような書籍だが、著者のガイ氏は昨年初頭に亡くなられた。盟友のコンウェイ氏と数ヶ月の差だった。もって瞑目&合掌であります。 

数論における未解決問題集

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