分割数( partition function)は自然数 n の分割の総数であります。オイラーの研究に始まるこの分野の研究はハーディやラマヌジャンの公式を始めとする20世紀の数学シーンでも脚光を浴び、現在でも進化中であります。
ここでは、その可視化をトライしたので、それを披露します。
5の分割を例にとります。
{5}, {4, 1}, {3, 2}, {3, 1, 1}, {2, 2, 1}, {2, 1, 1, 1}, {1, 1, 1, 1, 1}
の7通りの分割ケースがあります。「7」が分割数です。この並びは左側には大きい数かつ分割が少ない順とみなせます。
下はこの並びを長方形で表示してみたわけですね。
左の列から高さ5で幅1の長方形、次が高さ4で幅1と高さ1で幅1の四角形の積み上げ...ということで、単純に幅が1の四角形を積み上げているだけでありますな。面積は5☓7=35となります。
8の分割状況はこうなります。
分割数は急速にでかくなります。
14では分割数は135です。その状況はこうです。
どうでしょう、自然界の深謀遠慮が見えてくる、ような気がするではありませんか。
20で描画してみたのですが、ここには狭くて表示出来ません。627になります。
この分野の初等定理にオイラー恒等式というものがあります。
相異なる自然数(和因子とも)への分割数は奇数和因子への分割数とおなじだけある。これを表示してみたいと考えます。 上記の「5」の事例では{5},{4, 1}, {3, 2}が相異なる分割で3個、奇数和因子への分割は{5}, {3, 1, 1}, {1, 1, 1, 1, 1}で3個という意味ですかね。
::追記::
2014年9月号の日経サイエンス記事『ラマヌジャンの予言』によれば日系アメリカ人のケン・オノがラマヌジャン最後のノートに記された分割数に関するメモを定理にしたとされている。モックテータ関数というモジュラー関数と密接な関係を見出すことに成功したらしい。ケン・オノはエモリー大学の教員である。
【参考書】
今は手元にありませんが、こんな専門書も出ていました。家の蔵書で眠っています。ほぼ包括的に分割問題を
丁寧に解説してました。
- 作者: ジョージ・アンドリュース,キムモ・エリクソン,佐藤文広
- 出版社/メーカー: 数学書房
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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