完全立方体へのアプローチの覚書

 今はなきマーチン・ガードナーによれば、完全立方体は未解決の数論問題のなかでも悪名が高いそうであります。問題自体は簡単そうだけれどもレオンハルト・オイラー以来、大きな進歩がないという意味でしょう。解は見つかっていないけれど、非存在であるという証明もないのであります。

 この問題は直方体において、3つの各辺とその対角線3本、ならびに向かい合う頂点の対角線1本がいずれも有理数自然数)の組み合わせはあるかというもの。

 

     

 a, b, c, d, e, f, gがいずれも自然数であるような直方体を示せということ。

よって、三平方の定理が成り立つ。

 すなわち、4組の平方和の式を満たす7つの自然数を出せというディオファンタス方程式の問題でもあります。

           

 マーチン・ガードナーによるとすでにオイラーが肉薄している。おそらく一歩手前の解を提示している(オイラー恐るべし!)

(a,b,d)= (44,117,240)はgが非整数

    = (104,153,672)はf が非整数  g=697

そして、最近ではリーチが下記の解を追加したとある。

    =(7800,18720, √211773121) e,f,gが整数

 これらの共通点は1つを除けばすべて整数になっていることだ。なので、6つの整数解を出すことをガードナーの問題と「完全立方体」なる狭い業界で呼ぶらしい。

 以上の解法は、おそらく、正攻法でのアプローチであろう。つまり、数論の定理だけから算出するような手段を駆使したという想定だ。

 

 現在、自分が作成しているのはデータベース的な攻略法だ。

 手始めに、ピタゴラス・トリプルの集合 Sを用意する。その集合は大きいほど解を見つける可能性が高まる。ピタゴラス・トリプルは例の(3, 4, 5)から始まる三辺の数の組合せだ。Sには{7, 24, 25}, {16, 30, 34}, {9, 40, 41}, {27, 36, 45}, {20, 48, 52}などが含まれる。

 下記のm,nから生成できるのはご承知のことと思う。

                             

 それは(底辺、高さ、斜辺)という順番としておこう。

次の手順で集合Sを検索する。

1)Sから 1つの元 ( a, b, c)を選ぶ。

2)Sで(底辺、高さ)にcを含むかどうかを調べる。

  無ければ終了。1)に戻り次の 元で繰り返す。

  もし、あれば3)に進む

3)Sで (a, d, ※) かつ (b, d, ※) かつ (c, d, ※)となる共通のdを探す。ここで、※は底辺と高さから計算される斜辺の意味だ。

 この3)を満たすdがあれば、それが完全立方体の答えになるはずだ。

 

さて、Sと選択アルゴリズムをこしらえるかなあ。どっこらしょ。

 

【参考文献】

 最新の研究成果はリチャード・ガイの遺著のD18に要約されている。

 

 最近、紐解いていて上記の問題を再発見したです。