メビウス関数による実験計算

 メビウス関数は初等整数論で出てくる。ドイツの数学者メビウスメビウスの輪で有名)の創案による関数である。
 以下の様な定義である。

μ(n) = 0 (n が平方因子を持つ(平方数で割り切れる)とき)
μ(n) = (-1)^k (n が相異なる k 個の素因数に分解されるとき)
n が相異なる偶数個の素数の積ならば μ(n) = 1
n が相異なる奇数個の素数の積ならば μ(n) = -1

 この関数には顕著な性質がある。

以下の数値を計算してみよう。

 n=1000で0.00441187となる。n→∞ではゼロになる。

あるいはこの数列の数値はどうなるか。

 n=1000で0.607932、n=10000で0.60792689733147409685

これは下記の数値に収束する。

 というわけで種明かしをすると

こういう公式が証明されている。右辺はゼータ関数の逆数である。上記の数値はこの公式を検算しただけである。

 さて、実験数学である。

 これは如何なる振舞いを示すであろうか?

 最初の10万までの数値計算結果から示そう。1000番目ごとの数値を点で示している。

 発散する傾向にあるのはわかる。

さらに100万まで1万番目ごとの計算値を線で結んでみた。

 どこかで見かけたことがあるような発散曲線である。