続 メビウス関数による実験数学

 あるいは計算済みかもしれないけれどメビウス関数の数列和を試算し、極限的な振舞いを観察する。
 再説するけれどメビウス関数は数論の関数で、下記のような定義であります。

μ(n) = 0 (n が平方因子を持つ(平方数で割り切れる)とき)
μ(n) = (-1)^k (n が相異なる k 個の素因数に分解されるとき)
n が相異なる偶数個の素数の積ならば μ(n) = 1
n が相異なる奇数個の素数の積ならば μ(n) = -1

 自然数に固有な性質を取り出した重要な関数であるため、あちこちで登場します。

今回の試算は下式からスタートします。

 和は自然数について行うのは言うまでもないでしょうな。
最初の1から100までの計算値であります。

{1, 0, -1, -1, -2, -1, -2, -2, -2, -1, -2, -2, -3, -2, -1, -1, -2, -2, -3, -3, -2, -1, -2, -2, -2, -1, -1, -1, -2, -3, -4, -4, -3, -2, -1, -1, -2, -1, 0, 0, -1, -2, -3, -3, -3, -2, -3, -3, -3, -3, -2, -2, -3, -3, -2, -2, -1, 0, -1, -1, -2, -1, -1, -1, 0, -1, -2, -2, -1, -2, -3, -3, -4, -3, -3, -3, -2, -3, -4, -4, -4, -3, -4, -4, -3, -2, -1, -1, -2, -2, -1, -1, 0, 1, 2, 2, 1, 1, 1, 1}

 なんとはなしに増大してゆくようであります。

 事実、下図のように10000までの計算値はそれを裏付けている(100番目毎に計算し結線したのです)

 さらに大域的にも(せいぜい100万までなのですが)そうなるようです。

 それでは収束するような数列はないでしょうか。メビウス関数を含んでいながら単純な数列和で収束しそうなものはすぐに作れます。

 これは下図のように収束していきます。

どうやら
-0.8771974519145445に収束していきそうであります。