再説ネタであります。
任意の楕円の周上を転がる円の軌跡については以前にも書きました。
短軸=1,偏心率=1/2の楕円上を半径=1の円が98回転したときに円の一点が描く軌跡が下図です。
楕円部分は白抜きになって表現されています。
始点は右隅の楕円の端で、ここで接していた円周上の点がどのように動くかを表した式とご理解あれかし。
この方程式を整理したものを開示しておきます。(x,y)の媒介変数表現です。以前のものよりキレイに整式化しておきました。
eは偏心率、rは円の半径です。θが回転角(円の中心)でパラメータになります。
EllipticEは第2種楕円積分です。関心のアル方はご自身でお試しください。
実は、ちょーオモロイことに「rをマイナスにしても軌跡を描き出せます」。
マイナスの半径の円などというものは、誰も見たことはないですからね。
具体例を見てください。
下図は半径=−1の円の軌跡であります。その他は上の図の条件と同じです。
あの世からの幽霊のような円は足あとだけを残したわけであります。
クリスティーナ・ロセッティの詩が連想されます。
誰が風を見たのでしょう?
いいえ、誰も見てません。
けれども木の葉がざわめかせ
風が通りすぎてゆく。
偏心率を虚数にするなどというお遊びもできますな。
マイナスの幾何学というのは勤勉な和算家も描き得なかった図解でしょうね。
日本の数学―何題解けますか?〈下〉三角形・円・楕円などの幾何問題
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