空間中の楕円の表現についての慌ただしいメモ

 円錐と平面のクロスセクションが楕円(二次曲線)となるのは古代ギリシア期には証明されていた。
 アポロニウスの『コニカ』(なんと邦訳もある!)がその決定打だったのですが、デカルト以降の解析幾何学時代に生きる僕らはもう少々、代数的な表現をするのもアリでしょう。

 先月の三次元空間中の円の方程式同様、ある程度までは簡単に進めることは出来ます。
 円錐曲面の方程式から出発します。原点を通るとしても一般性は失わないので、それを是としておきましょう。
 円筒座標系をとりましょう。頂角はαとします。

 zとθの二変数の曲面の式です。

これに平面の方程式を連立させれば、もうそれでお仕舞い(楕円の表式まではです)


 でも、その式はヨソでは見かけたことがないので、転記しておきますね。
楕円の三次元空間での媒介変数表示ですわ。

 幾何的イメージで再確認してみるのも悪くないでしょう。
はじめに円錐曲面のイメージです。頂角は60度にしてます。


 これに平面方程式。a=b=c=d=1としたイメージです。

 両者の重ね書きです。
案に違わず楕円が姿を表しています。

 実は前回の未完の「空間内で円を描く」は円の媒介変数表示を生成するのが狙いだったのであります。まだ、円の媒介変数表示は完遂していません。
 楕円は簡単だったわけですな。
 なぜ、簡単にできたのか?
 円錐曲面の媒介変数表示がかなり自然な選択、自明性のある選択だったわけですな。
 

 いつもの様に、問題はこの先です。

 長軸や短軸、偏心率はこれまでの情報からは簡単に分からないのですね。解析的な表現はどのように算出するかが、ここでの宿題となります。

【追記】円柱を斜めに平面で断ち切る裁断面も楕円となるが、円錐の裁断面の楕円とどのような相違があるのだろうかという質問があった。
 円錐の極限が円柱なので円錐の裁断面の法が汎用性がある。放物線が生まれるのがその証拠である。

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 アポロニウスはアルキメデスと並び称されるほどの数学者です。知名度はイマイチですけど、ともかく翻訳が出たのはスゴイですわ。
 さすがですね〜、日本の出版界は。

円錐曲線論

円錐曲線論