数理的天才の始祖であるアルキメデスの残した余技として、「アルベロス」は数学ファンの愛玩物の一つである。近年、新機軸の紹介書が出たことでも知られる。
これは、3個の内外接する円の織りなす精妙な関係についての定理である。「靴屋のナイフ」がこの奇妙な名前の由来である。その記述は置いておこう。詳細はこのリンクを参照されたい。きちんとした証明もそこにある。
ここでは単純な拡張について注意しておく。
すなわち、3個の楕円についても「アルベロス」的な関係が成立するのである。
下図をご覧いただこう。
アルベロスの3個の円が楕円に置換されただけである。重要なポイントはどの楕円の離心率も同じとしていることだ。
円のアルベロスと同様に色づけした部分の面積が興味の対象となる。
本日の主張である。
この橙色の面積は下記で追加された楕円の面積と等しい。この楕円の離心率は他の3つ楕円と同じであるとする。
4つ目の楕円は2つ小さな楕円の接する点とそのy方向が外接楕円と交わる点を短軸とする楕円である。(何を言っているかは下図をご覧あれ)
4つ目の楕円は外周の楕円と接していないのはちょいと残念だ。
これは楕円の面積公式だけから導出できる。
各長さを下図のように定義するとしよう。
すると4つ目の楕円の面積=橙色の面積は下式となる。
アルベロスの円のケースに平方根因子が追加されただけである。eがゼロとすればアルベロスの場合と一致するのは言うまでもない。
実のところ、y軸方向に平方根因子倍だけ収縮させただけなので当然のことなのだけれども。
「附論」
下図のピンクの四角形が平行四辺形となるのは自明としておこう。
アルベロス 3つの半円がつくる幾何宇宙 (岩波科学ライブラリー)
- 作者: 奥村博,渡邉雅之
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