基礎的ながら不可解なまでに大きな式変形を要する解析幾何の問題

 楕円と円の接触問題なので2次方程式の組み合わせを解くだけなのですが、これが途方に暮れるほどシンドイという解析幾何の問題をもう一度穿り返します。

 下のように円を四方から同じ形状の楕円が接する問題を解きます。

つまり、下のような4楕円と位置が与えられたときの円の半径を求めたいのです。

 そうです、このシンプルな問題が手計算ではお手上げ状態の問題になります。

具体的に方程式に落としていきます。

 下図のように半径rの円を原点におき、第一象限の(a, b)に中心をもつ楕円が外側から接するとしましょう。

 接する点を(X0,Y0)としましょう。接点の条件を見極めれば、数学のマニアならすぐに下記の連立方程式を導けるでしょう。

  

円の半径rは(X0,Y0)から、次式で出せます。

      

ところが、上の連立方程式を数式処理ソフトで解くと飛んでもないアウトプットになって見当感喪失を起こします。たぶん、10分では出ないかもしれない。

このままで数式処理ソフトに頼るのはあきらめたほうがいいだろう。

 楕円の離心率e 、X0=a s, Y0=b tなる変数( s, t)を導入する。a=1 としても一般性を失わないことから、上の連立方程式は次に示すような式に変形される。

   

離心率e は所与(a,bがわかれば既知)であるから、についての方程式が出せる。

ぎりぎり4次方程式となったので代数的に解ける。この解の中には円が4つの楕円を内側に閉じ込める解も含んでいるのはもちろんだが、ここは楕円に外接する円のsを求める。

 その解を示す。

 小さくて見えなくとも気にしないでいただきたい。どうせ理解できるような式ではない。あるいは変形して簡易化できる式ではない(と思う。数学は恐ろしく出来る人がいう世界なので断言は禁物だけど)

本当はrの値が分かりさえすればいいので、rについての方程式に書き換えてもいいはずだ。しかしながら、このアプローチも計算量のおおさに阻まれる。

 半径rはsとeで下の式になる(a=1のケースだが、a倍すれば一般の楕円でも成立するのはいうまでもないだろう)

     

 eを0から1近くまで連続的に動かして、接しているのは確認できる。