【続】ゼータ関数に関連する定積分にまつわるラマヌジャンの数列

 前回の「ゼータ関数に関連する定積分にまつわるラマヌジャンの数列」をまとめると自然数kに関して、以下の定積分が成立する。

 左辺の扱いやすさをみて、級数和をいじりたくなるのが数学マニアの習い性だろう。

具体的には次のようなゼータ関数の無限の交代和を計算したくなる。

     

     

おもしろいことにラマヌジャン級数を使うと閉じた形の定積分に変形できる。

その結果だけ示す。

  

  

 被積分関数が誰もが思いつけるようなシンプルなものだというのがgoodだ。対称的な式であるのもvery goodだろう。

 

 そして、もっと面白いことに定積分はシンプルな結果になる。

  下の式に表れているのは調和級数関数という奴であります。

 深淵なる数の関係が仄見えた感じがした。


【参考文献】

書店で手に取ってみてインスパイアされた。やはり数学は絵だよねー。

 

 

ゼータ関数に関連する定積分にまつわるラマヌジャンの数列

 いつもお世話になっているラマヌジャンの指摘から始めます。

次の定積分を考えるとしよう。

    

それはゼータ関数自然数値になるとラマヌジャンは指摘した。

実際に、k=1,2,3を計算してみると


 著しい事実はkが奇数の場合も成立していることだろうね。
この傾向はkが自然数である限り成り立つ。

最初の10個について、その係数をとりだしてみると

{1, -2, 6, -24, 120, -720, 5040, -40320, 362880, -3628800}

すごくシンプルに と表式化できるわけだ。

この数列をラマヌジャンの数列とでも呼びたく成るのは自分ひとりではあるまい。

 ゼータ関数とこの定積分との関係を使うとオイラー的な組み合わせも可能になるはずだ。これからその関係を弄んでみたい。

 

真性特異点のビジュアル

 一部の数学マニアにとって、シンギュラリティは真性特異点essential singularity)のほうが真性なシンギュラリティである。複素関数論の世界ではおなじみだからだ。

 なにを今更AIのシンギュラリティなどで騒ぐのかというアナクロな見解を自分も共有しているのであります!

 複素関数論の特異点こそホンモノだからですわ。

 

ja.wikipedia.org

 

 それはともかく、代表的な真性特異点がどうなっているかを手前味噌的にビジュアライゼーションしてみた。

         

上記の関数でz=0が真性特異点として、大学数学では習うだろう。

 これを次の条件で可視化しよう。

漸化式にする。

    

 初期条件として、正多角形の頂点n個を福素平面で与える。

 それらのn点各自に漸化式を繰り返し適用すうことで点の軌跡を同時多発的にトラッキングする。そういう離散数学的な可視化を行う。

 正n角形は半径rの円に内接しているとして、パラメータrとnを与え、それをs回漸化式を反復適用するしよう。

 次の計算例はr=1.5, n=36, s=4 の結果である。意外にも右半平面で荒れ騒ぐような軌跡だ。

 

正36角形を重ね合わせたもの。これはオクトパスみたいだ。足が多すぎるけれども。

 

 この下は、r=1.2, n=30, s=5 の結果である。rが1に接近すると挙動が乱雑さを増すようだ。これらをまとめて動画にしたいと思う。

 


r=0.9, n=300, s=3のケースはちょっと意外な様相となる。

 その系列かとも思われるのが、次の2ケースだ。

r=1.1, n=200, s=4

 

r=1.5, n=200, s=9

 

【参考文献】

 

 こっちの字の函数論も懐かしい。

 

 

Gauss素数におけるソフィージェルマン素数列の可視化

 大数学者ガウスが認めた唯一の女性数学者ソフィージェルマンは、フェルマーの最終定理に関する次の定理で知られている。

 2p + 1 もまた素数であるような素数 p においてフェルマーの最終定理が成り立つ

ja.wikipedia.org

 これにちなんで、2 p+1が素数であるpをソフィージェルマン素数という。

 ガウスとソフィージェルマンという卓越したカップルにちなんで、複素平面におけるガウス整数の素数でソフィージェルマン素数であるものを可視化してみた。

 天上界における二人の栄光に捧げる。

 

【参考文献】

 

 素数オタクの数学者リベンボイムの「腐朽の」名著

 

 

続 ヨハン・ベルヌーイの定積分と1/(n^n)について

 大いなる法螺定理をここらで披露しておこう。

その経緯から、ヨハン・ベルヌーイのエイブリーフール定理と仮称しておく。

それは如何なるものか。

 次の極限値を考える。

    

k=1は分母=0になるので外している。そして、シグマの値は発散する。

なので、log(log n))を引いておく。

  オイラーの定数の類比であるのは一目瞭然であろうけれど、リアルな極限値数学書コレクターの自分もあまり見かけたことがない。

 n=1000000での値は「0.794678681644099759.....」である。何分にもトロ~い収束なのだ。収束の悪さについては下のピックオーバーの著書を参考にしてほしい。

 さて、自分のBlog「ヨハン・ベルヌーイの定積分と1/(n^n)について」の流儀に従って、下の定積分を考える。

        

数値計算オタクは積分の範囲に注目してほしい。有名どころの超越数が並んでいる。

 これで道具立てがそろった。

ヨハン・ベルヌーイのエイブリーフール定理は下記の等式を主張する。

  

 

 左辺の値はおおむね、0.7949967439646...........くらいであることは、こっそり教えておくことにします。

 

【参考文献】

 1/(k log k)の総和に関して、自分の知る限りでの計算への言及はピックオーバーの下記の本の19章の「カリストの無限虫」にある。総和が3を超えるのに8690項必要だとしている。こんなことを計算するのは大いなる閑人である証拠だ。

 思えば、この本は計算可能な巨大数の扱いの始まりだったかなあ。

 

 

 

 

 

ヨハン・ベルヌーイの定積分と1/(n^n)について

 ヨハン・ベルヌーイは1697年に下のような驚くべき結果を出した。

       

実際にこの数値は両辺とも「1.2912859970626635404072825......」となり一致する。

右辺の美しさは調和級数と並ぶかもしれない。

その証明は下のハヴィルの本を見てほしい。

 自分の注意を惹いたのは、左辺の定積分は確定した値をもつことだ。

   

xが0以上での定積分の数値を出しておく。2に近いのだが、2ではないのだ。

 k^kにかかわる関係がないのかどうかをあれこれ数値計算してみたのだが、思わしい結果は得られなかった。

 あまりに特殊な数値の実験数学であるけれども、読者諸賢にも考究していただければ幸いだ。

 以下、ヒントになるやもしれぬので、それらを思いつくまま書きしるしておきます。

     であるけれど、

となり、ある一定の値に収束するようである。

また、交代級数的な変種は下記となる。いずれも、絶対値が0.7近傍になるのが怪しい。

 

 更に、以下の総和を遮二無二計算した。各数列はそれほど急速にゼロにはならないようだ。

       

  最初の20項だが、緩やかに増大していくようだ。

0. , 0.414213562373095048801688724210, 0.856463132680503431123327034990, 1.27067669505359847992501575920, 1.65040635651481331231507922342, 1.99841251111209097968931553732, 2.31888175886821477149864286882, 2.61572131351922443743239698661, 2.89223932052846609711679563719, 3.15116473232263330754074974359, 3.39473996023500404262054145550, 3.62481546581297529628354695162, 3.84292950937374349294257268499, 4.05037153679215480335004256116, 4.24823159506179104777720544297, 4.43743871006451211449470541353, 4.61879078469005783603486110658, 4.79297803778971936554719343248, 4.96060152148582698963050731564, 5.12218787112736927143922853989, 5.27820115212817254413462562078, 5.42905245248645132955918541702, 5.57510771070993550989062236150, 5.71669415134209893435145172670, 5.8541056130981276522, 5.9876069895568354056, 6.1174379534665884382

 マクロな傾向をみるために、n=10000までの計算結果をグラフにした。両対数グラフである。全体的にlog nより大きい感じだろう。意外である。

 

 

log nと重ねて描いてみる。 上の線がs(n)であることは言うまでもない。

 

 

 

 

 

【参考文献】

 

 

(続)連分数の極限値の逆説

 前回の「連分数の極限値の逆説」の継続であります。

aとbから構成される無限連分数において、u[n]という漸化式を構成した。

    

下式の漸化式は解析的な解を出せる。

   

この解析的解は決定論的な式であるのだ。

   

 このPとqは整数である。互いに素であるかどうかは問わない。

漸化式の条件より、

  

p,qについての線形の漸化式なので、正確な解を導出できる。

詳細は省いて、結果を書き出しておきます。

  ここで、

つまりは、決定論的な式がD<0だとカオスを噴き出すわけですね。

  

  

 a=2 & b=-10 としてみるとD=ー36

{p(n).q(n)}として最初の20項は、

{{2, -10}, {-6, -20}, {-32, 60}, {-4, 320}, {312,   40}, {664, -3120}, {-1792, -6640}, {-10224, 17920}, {-2528,   102240}, {97184,  25280}, {219648, -971840}, {-532544, -2196480}, {-3261568,   5325440}, {-1197696, 32615680}, {30220288,  11976960}, {72417536, -302202880}, {-157367808, -724175360}, {-1038910976, 1573678080}, {-504143872, 10389109760}, {9380822016,  5041438720}}   となるり、急速に増大する。

 この数列でp(n)が小さくなることがある。それが、異常なはずれ値となるようだ。

横軸をp、縦軸をqとして点列を結んだものを図示した。

 これだと急速に大きくなるのはわかる。でも、外れ値が見えない。

よって、{ Log(Abs[p]), Log(Abs[q]) }を図示しよう。

 なんだか、ゴジラの背中のようなパターンがあるのがわかる。つまるとこと、ときおり、Pが減るのだ。

 もっと先(100項)まで計算した結果を示す。

 

 なんとなく、pの外れ値は周期的に起きていそうな気がしてきたです。