興味本位の基本対称式の計算からの実験数学

 n項の基本対称式のパターンがn個あるという前回の話の継続であります。

すなわち、5個の変数があれば、

   

次のような5個の基本対称式の種類がある。

 今回はこれを自然数に対して適用して、素数の出現を表現するという面白半分の試みです。
 例えば、自然数1,2,3,4,5に対して、基本対称式の5種の計算値は15, 85, 225, 274, 120となる。ここでの素数は皆無である。

  n=1から10までにこれを繰り返す、個々の素数判定を可視化してみよう。パスカルの三角形的に表示してみた。

        

白抜き四角が素数であり、黒は合成数である。素数は少ないですね。

 これを(基本対称式+1)で試行しよう。n=5での実例は16, 86, 226, 275, 121だ。

n=1から30までにこれを繰り返す、それらの素数判定結果を表示しよう。

かなり素数の頻度は増加する。であるけれど。目立った規則性はないようだ。

 右隅の□は n!+1が素数になるケースだ。

これだけでも計算時間は1時間かかった。

 ほかに素数が頻出するのは、偶数列からの基本対称式だろうか。

つまり、{2, 4, 6, 8, 10}の5個の連続偶数から、{30, 340, 1800, 4384, 3840}が生成され、それぞれに1を加算して、{31, 341, 1801, 4385, 3841}が生まれる。

一番目と三番目が素数になる。これをn=30まで計算したのが下図である。

 一番目の基本対称式(単純和)は14回素数になっている。

打率5割に近いので、大谷翔平も顔負けであります。