複素内分三角形の反復

 難しそうなお題だが、高校の算術(複素数と三角形)のレベルのコンテツであります。
 何を調べるかというと単純だ。
 三角形を3頂点=3個の複素数α、β、γで表し、それに外接する三角形を決めるのだ。その外接する三角形の辺を3頂点がt:1−tに内分するというのが条件であります。
 つまりは下図のような三角形の系列を複素数で表現するという問題なのであります。


 ここでa,b,cは外接する三角形の頂点に対応する複素数である。tが内分の比であります。図では t=1/4 で、(α、β、γ)=( i/2, -i/2, 0)のケースを示している。

 a,b,cはこのように解かれる。

もう一回、反復してやることもできる。

 なかなか複雑な感じの式だ。
大学入試問題にはもってこいだろう(既にあるだろうけど)。
4回まで反復操作したのが次式だが、ここまで手計算できる高校生は少ないだろう。

行列を使ってもよいが、それほど手間が減るわけでもない。

 本題であります。
tを複素数としたら何が起きるか。
 t=1/3で常識的な反復三角形(4回までの反復)になることを確認しておこう。

 それでは虚数に登場してもらうとしよう。
t=−iの時だ。もとの三角形は(α、β、γ)=( i/2, -i/2, 0)の二等辺三角形であります。これは5回までの反復だものね。

 なんとも意外なパフォーマンスをしてくれるじゃないですか。
t=−5i/(5+i)ではこうなると。


 わざわざ複素平面で三角形を構成したおかげで、「t」を複素数にできるのです。線分の内分点の比を複素数にするなんてユークリッド幾何の枠ないでは思いつきもしないでしょう。
 複素数での一般化が、ユークリッド幾何の別な表情に気づかせてくれるのだ。そういう点で、まことに高校の数学も奥が深いといえる。

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マンガでわかる虚数・複素数

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