一般に日本嫌いの欧米知識人は中国びいきであることが多い。
やがてベストセラー作家になるジャック・ロンドンは日露戦争中に朝鮮を訪れ、当地の住民に同情するとともに高圧的な日本官憲に敵意を抱いている。
同様にバートランド・ラッセルとジョン・ヂューイという哲学者は訪日後に中国に行き、彼らの文化や伝統に深い共感を抱いている。
とりわけ反日的な姿勢が明確なのはアーサー・ケストラーだ。来日した途端に反日となっただけでなく、『ロータス&ロボット』という批判書までものしている。禅にはまったく理解を示さなかったのも有名だ。ただし、中国シンパではなかったようだ。その犀利な理性に東洋的なものには必要がなかったのだろう。
事実、反合理性と曖昧さがこれほど染み付いた文化的民族はそんじょそこらには存在していない。
そのくせ欧米を巧妙に模倣して、武力を誇示したり経済力を誇示したり、とんでもない変わり身の早さを演じたのだ。
自己主張もなく全体主義(戦前はファシズム、戦後はマルクス主義)に親和的な国民性に、不信感をもつのは分からないでもない。
『真昼の暗黒』というアンチ・スターリンの代表作の作者であるわけだからね。
そのケストラーは晩年に超心理学に関心を寄せ、その研究資金に遺産を贈与して後に安楽死したのは1983年だった。神秘主義に傾倒したのが興味深いのだ。
プハーリン裁判をモデルにしたこの恐るべき代表作は現代人の必読書だろう。
- 作者: アーサーケストラー,Arthur Koestler,中島賢二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/08/18
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貴重なインタビュー映像もあるでよ。