暗くなるアメリカン・ヒーロー

 シリーズ化しているハリウッド製のアメリカン・ヒーローの代表は、スパイダーマンバットマンだ。
 どちらも、人間生活の片隅でひっそりと息づく生き物で、昆虫と哺乳類の日陰における存在であるのは、偶然であろうか?
 双方の脚本家たちは、どうやらこのヒーローを対比的に取り扱うようにしていると感じる。
 名もない学生でバイトでなんとか生活を切り盛りしているスパイダーマンに対して、バットマンは百万長者ではあるが悪の大都市の孤独な存在。理解者は身近な人だけだ。
 どちらも素性を隠し、ギリギリのところで自分の人生を生きているのは共通だ。
しかし、なぜ正義の味方はこうも孤立するのか?
 大都会の片隅に身を潜めて、巨悪に孤独な戦いを挑む。それでも、一般市民の無条件な歓呼もなければ栄誉もない。
 それにひきかえ、悪人側は生き生きとしていうのが、なんとも皮肉だ。おのれの信念を貫くのが難しくなっているアメリカの世相を反映しているのだろうか。
 これはなんというか、ぶっちゃけていえば時代そのものがダークなのか? 


追記:ダークナイトライジングを観ても感想は変わらない。犯罪者といい仲になったりしているのだから。

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