正多角形における「反転」

 正多角形がマイブームであります。
円での反転はドイツの偉大な幾何学者シュタイナーの裏ワザでした。困難な幾何学の定理を続々と発表したシュタイナーに同僚は舌を巻いたそうです。

 わが和算家の学者たちも高度な幾何学の問題を解いていますが、反転の原理を知らなかったようです。
 神奈川県寒川神社算額にはソディの六球連鎖と同じ解が奉納されています。
 地元の和算家、入澤博篤は反転をつかわないで、この難問を解いたと深川英俊は『聖なる数学』で指摘しています。さぞかし恐るべき幾何学的な手続きであったでしょうね。

 整合的であるかどうか知りませんが、円の反転に見習い正多角形で反転の物真似をしてみました。物真似なので物好きなヒトには、面白いかもしれません。

OP*OQ=OA*OAとするのです。点Pの位置により計算条件は変異します。Pの座標を(u,v)としたときの
円Qの半径の式を書いておきます。正五角形の場合の式です。

z[k]は正n角形をz[k]=Exp(2πk/n)としたものです(複素数のほうが扱いやすいですね)
Floorはガウス記号です。Modで5の剰余類を計算します。

いろんな配置を試してみると面白いでしょう。

この「反転」で注意することで気のついたのは、いまのところ二つあります。
円と円の接触は反映されない。

 もうひとつは、円は円に写像されないということです。上の図では半径と中心座標だけを「反転」させて描画しています。なので、直線も直線に写像されないのですね。
 この意味不明でおかしな「反転」は追求してみる価値がありそう!


【参考文献】聖なる数学とはいいタイトルですねえ。和算を義務教育数学で理解できるように解説してある貴重な書籍です。英語版が最初にアメリカで出版されたので、ダイソンとかペンローズの推薦文があるのが、イイですわ。

聖なる数学:算額-世界が注目する江戸文化としての和算

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