ニュートン力学的エコドライブの走法の極意

 理系的センスのエコドライブをここで、強調&吹聴してみたい。名付けて「ニュートニアン・エコドライブ」です。
 力学法則にのっとりスムーズな運転を心がけるのであります。エコ・ドライブとは燃費を増大させるクルマの運転術というほどの意味であります。

 覚えることは簡単。この3つであります。

慣性の法則 車体は力を加えられない限り運動を続けようとする
・エネルギー保存則 ガソリンの消費量は力×移動距離に比例する
・車体に作用する力 エンジンの駆動力、重力、(車輪+空気抵抗)摩擦力それにシャーシーの内部応力(ブレーキ等)


 とくに二番目が重要であります。そのために、補足すると力=質量×加速度。質量は車体重量と思えば良いです。
 車体重量の重さが同じなら、燃費のためには加速度の増大を減少させればよい急加速は良くないのは当然だが、等加速(一定に速度を増やす)を長時間するのも良くないことがわかるでありましょう。
 数式で恐縮であるがこんな公式を高校物理で学ぶ。

 この右辺は力×移動距離とほぼ同じ、つまり燃費に比例する。
左辺は移動する間の終速と初速である。
終速=0とし、最大速度=1とするとこんな三角形ができる。

 この面積を上の式は表現しているとしてもいいだろう。つまり、この面積が燃費に比例する。同じ距離=底辺で面積を小さくするためには、高さ=最大速度を下げればいいだろう。
 応用例としては、前方で信号が赤になったら、もうアクセルは踏まないのだ。少なくとも増速しないことだ。クルマの慣性だけで走るのがいいだろう。いや、エンジンブレーキを使うのもいいだろうし、暑ければエアコンをつけるのもありだ。
理系的にいえば、速度の一階微分が小さくなるように運転することである。仕事量の定義から、正の微分係数の大きさを抑え、負の係数は制限しないことを心がけるのであります。

 慣性の法則はノンアクセルとノンブレーキが一番燃費にいいということを示唆する。
 可能なかぎり力のかかることをしなければ運動は持続する、つまり、燃費は改善することを意味しているのであります。
 けれども、世の中そうウマくはない。車体の内部抵抗や路面の走行抵抗、空力抵抗などがクルマを停めようと邪魔をする。要するにクルマはマサツのカタマリだと言うヒトもあります。

 車体に作用する力でクルマを前進させるのは、もちろんエンジンの駆動力だけであります。しかし、場合によって重力も前進に力を貸してくれる。
そう。下り坂である。この時、位置エネルギーが車体に宿る。
 スピードオーバーの時には燃費を良くするためにもギアをローレンジにしよう!
 すると内部の発電機がグリグリ回り電気をバッテリーに蓄電してくれる。これはプリウスのようなHVが公然とやっていることだ。HV車はブレーキを踏むと発電機に運動エネルギーを変換する。ブレーキペダルを踏むのは発電機にどれだけ変換させるかという抵抗器のつまみのような操作なのだ。
 ちなみにエアコンは上り坂ではオフにして、下り坂でオンにすることを推奨する。エアコンは発電機の電気で作動している。よって発電機をたくさん無料でぶん回せる下り坂にエンジンブレーキと併用するのがエコになるはずである。

 極端なはなし、マニュアル車ではニュートラルにするのも手だ。
 私もアメリカのデスバレーでのロングな下り坂で10マイル近いニュートラルの運転をしたことがある。つづら折りの坂道だらけの日本では不可能だろう。
 だが、山や丘のアップダウンは距離が短くならないなら避けるに越したことはない。

 空気抵抗も高速道路では燃費改良に使えないことはない。大型車のスリップストリームを使うのである。高速移動体の後方に生まれる空力的な引き込み渦を利用するのである。
 ただし、運転には危険が伴うことをわすれてはなるまい。

 以上のように力学的な思考で燃費はかなり改善できる。エアコンもアイドリングもその応用として各自考えてみられよ。