自炊、つまり、自前で電子書籍を製作するのが一般の人びとに認知されてから、かれこれ一年くらいたつ。
それ以前は、「職人」と呼ばれる自炊の達人たちだけがいました。彼らは、きっちりとスキャニングして、紙面にシワシミ汚れ一つなく電子化する、そうしたプロ並みのテクニックで電子化するのが普通といえば普通でした。
これだけ「自炊」が普及しても、それが唯一の電子化、正しい自炊と信じる普通の人が多いです。
というより、多すぎる気がします。もっとイージーに電子化をしてほしいいうのが、自炊本7600冊になんなんとする自分の意見です。
この本『究極の電子書斎』でもイージーゴーイングな自炊を説いたつもりでしたが、どうも世の中そうした自炊ばかりではないようです。
iPadでつくる「究極の電子書斎」 蔵書はすべてデジタル化しなさい! (講談社+α新書)
- 作者: 皆神龍太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: 新書
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例えば、道具。
そりゃあ、高価な大型裁断機でキレイに裁断するに、こしたことはありません。けれども自分はカッターで十分であると信じています。場所を取る道具はいかんのです。もともと本を置く場所に困るので本を裁断・電子化しているのです。
よって自分は国内のある裁断機メーカーに働きかけて、コンパクトで安価な一般向け裁断機の開発を訴えました。でも、そのメーカーは自炊ブームで従来機が売れるので自己満足してましたね。
これでは困るのですけど。替刃が高くて、置き場所に困る製品ばかりで、自分のイメージする一般向け裁断機が市場にはないです。
だから、自分はカッターで頑張っていますよ。少々の切りむらは目をつぶってます。
スキャンだって細かな設定は不要だと思いますね。
次の、三種のモードで十分です(Canonの両面スキャナー)
1)白黒モード 文字がしっかり読める。にじまないで鮮明である。300DPI
2)モノクロ写真モード 白黒写真が比較的鮮明。400DPI
3)カラー白黒自動認識モード 表紙とカラー部分を読み込む 300DPI
これだけで、後はスキャナー任せです。それ以上の細かい設定は経験上不要です。
もし、どうしてもキレイにスキャンしておきたいのであれば、その本は裁断しないことをお勧めします。あるいは電子版を最初から入手しなさい。手間暇かけてスキャンするよりは、そのほうがいいと自分は思います。
要は、継続することです。
実は、イージーな電子化の大きな副産物があります。古本屋さんの有効利用です。
安い、そして黄ばんだ古本でも価値がある本は山ほどあります。やや汚れていても折れ目があっても構いません。
それを探しだしてはイージースキャンするのです。
するとですね、電子化された本は、新刊本と大差がなくなるのですよ!
自炊によって汚れが浄化されるのです。昔の所有者のおん念が消去されるのです。
これはいいじゃありませんか。誰も見向きもしない本を再利用するには、「自炊」が一番なのです。ういういしい新刊本じゃなくて、薄汚れた古本を「職人的自炊」するのは、時間の無駄だと自分は思います。イージーな自炊で十二分なのです。
汚れちまった悲しみにまみれた古本を電子的に再生して、喜びとしようじゃありませんか。
綺麗な本をキレイに自炊するのではなく、汚れた本を簡単に自炊するのも方便だと思います。
自分はそれ故自炊本を次々に増殖させているのです。