大事な本を自炊する
裁断して両面スキャンをかけるのは、どんな本でもできるわけではない。7000冊を裁断した手前、そんなことを言える立場にはないかもしれないが、でもここでは非裁断の道も記しておきたい。
ヒトにはそれぞれ貴重な本、大切な本、友人知人に読ませたい本などがあるものだ。
また、そうした本こそ、何度でも手にとって読みたくなるのだ。
このような場合にはどうすればよいか?
フラッドヘッドスキャナーとDocuWorks(富士ゼロックス)ソフトがあれば、それはできる。*1
フラットベッドスキャナーはTWAIN対応であればいい。要は普通のスキャナーで十分ということだ。あえてゼイタクをいうと読み取り速度が速いにこしたことはない。
そこはよくしたもので、スキャナー大国の日本だ。家庭でもよく使われる複合機だと読み取りは速い。標準的なコピーの速度が速いためである。
売れ筋にあるようなキヤノンのこの機種などで十分であろう。
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ブラザー工業の複合機が最近は売れていると聞く。多機能で、割と安めの価格帯であるからだろう。
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厚い書籍をコピーするさいの枠線や歪みを除去してくれる機能だ。残念ながら、コピー時にしか使えないのが泣き所。
これをスキャンモードで搭載してくれたら、ブラザーの複合機売れますよ!!
とにもかくにも、普通のスキャナーでページを複写してゆくので、本そのものは解体する必要がないのだ。
DocuWorks(富士ゼロックス)の特徴は、バラバラに読み込んだページを独自のデスクトップにアイコン化してくれることだ。スキャナーをここから呼び出し、読み込みを行うわけである。200〜300dpiの精度でいいだろう。
表紙やカラーベージをカラースキャンする。他は可能なかぎり白黒スキャンにする。
カラースキャンは速いスキャナーといえども、白黒スキャンの3〜10倍時間がかかるからである。写真があればグレースケールのスキャンをするのは言うまでない。
手でスキャンするメリットは、こうしたコマ目な切り替えができることだろう。
その他、回転や拡大、簡単な編集作業もできる。OCRなども対応している。
PC Windows上のアプリである。Viewerは無料で、OSがMacにも対応している。最近ではiPhone/iPAD用のものも出た。
これをマウスでドラッグ&ドロップで束ねることもできる。
基本的には、スキャンしてできたページのイメージを一括でたばねることができる。
やり方というほどのものはない。
普通のコピー機でページを複写してゆくような作業を繰り返すだけだ。スキャナーでなんども複写し、さいごにDocuWorksの機能でまとめて束ねる。そうすると本の似姿ができあがる。
この本の似姿もある意味、本好きにはぴったり来るのではないか。
貴重な本はこうして本の姿を残す。表紙はカラーでスキャンする。本文は基本白黒だ。
スピード優先だからだ。
そのかわり、厚い本は中央が黒くなるし、ページがやや歪む。
たいがいの本は20分以上はかかることを覚悟しておいてほしい。文庫本でも同じくらい時間がかかる。それに、スキャン中は両手がふさがるのであまり他のことはできない。でも本が、傷つくことはない。それが救いだ。
このようにして出来上がったファイルの形式はもちろん、DocuWorks形式のファイルなのだ。フリーのViewerがあるので、パソコンであればどこでも読書が可能になる。
KindleやiPadなどの電子書籍リーダーで読みたければ、PDFに変換することもできる。
知られざる優れものアプリである。
自分はこの方法で500冊ほどを非裁断自炊している。これも自炊による電子書斎であると自負する。何度読んでもいい本はそのままの姿で読めるのは、いいものだ。DocuWorks版は持ち運びもできOCRも効くしね。
本をバラサズに電子化したいヒトには、こういうやり方もあるわけだ。
その経緯などはこちらの本を参照していただきたい。通過儀礼としては、このやり方を経由しているし、今でもときおり非裁断自炊はしているのだ。
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DocuWorksのくだりを上記の本から著者の許可をえて引用する(小生もその一人なので)
二〇〇一年六月 『ぶちアレクサンドリア図書館』とは、書籍を片っ端からデジタル化してハードディスクに取り込んでしまおう、という僕のアイデアである。実作業は単純そのもの。本のページをひたすらめくり、ひたすらスキャナーで読み込んでいく。
当時は本をばらして読み込む、などということまではまだ考えておらず、フラットベッド型の平たいスキャナを使うことによる本の読み込みを構想していた。本を開いてスキャナのガラス面に押しつけ、その読み取りが終わると、また次のページをめくって紙面を読み取る、ということを延々と繰り返していけば、丸々一冊の本のデジタル化だってきっとできるに違いないと思っていたのだ。
実に十年前から非裁断自炊をやっているし、だからこそ500冊になったのだ。一年で
50冊は大いなる時間の無駄遣いかもしれないけど。
いずれにせよ、DocuWorksもそれほど歴史をもつアプリなのである。
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