フェルマーの小定理に関わる擬素数

 フェルマーの小定理素数であるための必要条件を与える。
この定理は基を「2」とするとpが奇素数(2以外の素数)であれば、下記が成立する。

ところが、これはpが素数であるための十分条件ではない。素数でもないのに、フェルマーの小定理が成立してしまう数を「擬素数」と呼ぶ。
 これには、341など下記のような数(素数以外)が含まれる。10000以下では次の22個である。ちなみに、341=11☓31である。

341, 561, 645, 1105, 1387, 1729, 1905, 2047, 2465, 2701, 2821, 3277, 4033, 4369, 4371, 4681, 5461, 6601, 7957, 8321, 8481, 8911

100万以下では245個ある。今では更新されているだろうが、リベンボイムの本では5000万以下まで調べたヒトがいるそうだ(1926年)
そこでヒマに任せて1億までを調べてみた。
 「5597個」擬素数が存在することが判明した。

上記のリストを素因数分解してみよう。読み方、{{11},{31}}は341の素因数分解での素数である。

{{11},{31}},{{3},{11},{17}},{{3},{5},{43}},{{5},{13},{17}},{{19},{73}},{{7},{13},{19}},{{3},{5},{127}},{{23},{89}},{{5},{17},{29}},{{37},{73}},{{7},{13},{31}},{{29},{113}},{{37},{109}},{{17},{257}},{{3},{31},{47}},{{31},{151}},{{43},{127}},{{7},{23},{41}},{{73},{109}},{{53},{157}},{{3},{11},{257}},{{7},{19},{67}}

さて、ここでヘボイ質問を二つしてみる。

1)上記の素因数分解に登場しない素数はあるだろうか?ある程度大きなところまで擬素数を調べて、先の一億までの擬素数で最大なものは「999828727」であった。
 
 「341から999828727」の5597個の素因数分解で登場してこなかった素数を下の方から並べてみた。

983,1223,1367,1493,1543,1583,1787,1823,2063,2083,2237,2267,2309,2399,2411,2423,2503,2539,2591,2819,2957,3203,3307,3413,3491,3539,3623,3637,3671,3701,3767,3779,3803,3919,3923,3929,4007,4013,4079,4093,4099,4157,4229,4243,4283,4327,4391,4507,4517,4547,4549,4703,4877,4919,4943,4957,4967,4987,5003,5011,5039,5051,5077,5087,5099,5107,5119,5261,5303,5323,5351,5399,5479,5503,5507,5519,5573,5639,5651,5683,5693,5717,5741,5743,5779,5783,5813,5839,5927,5939,5987,6011,6047,6143,6199,6203,6247,6263,6299,6311,6317,6323,6343,6359,6367,6373,6379,6469,6547,6569,6577,6599,6619,6653,6691,6719,6733,6737,6763,6779,6781,6827,6869,6883,6899,6911,6917,6959,6971,6977,7013,7019,7039,7043,7079,7127,7219,7237,7247,7253,7283,7307,7451,7499,7507,7517,7529,7559,7573,7583,7589,7607,7639,7643,7649,7669,7691,7699,7703,7717,7727,7817,7823,7853,7877,7883,7919,7933,7937,7949,8039,8087,8093,8111,8123,8147,8231,8237,8263,8287,8291,8311,8363,8369,8377,8387,8419,8423,8513,8539,8543,8563,8573,8597,8599,8623,8627,8647,8663,8719,8731,8753,8807,8819,8821,8837,8839,8861,8867,8893,8923,8933,8963,9007,9011,9013,9029,9043,9059,9103,9127,9161,9173,9203,9221,9227,9239,9257,9283,9293,9311,9343,9377,9391,9403,9419,9421,9437,9461,9463,9467,9479,9497,9539,9613,9629,9661,9677,9689,9733,9739,9743,9749,9767,9803,9833,9839,9851,9859,9883,9887,9907,9923,9931,9967,9973,10007,10037,10067,10069,10079,10099,10103,10111,10139,10141,10151,10159,10163

 まだまだ続くけれども、もういいであろう。983未満の素数は素因数ですべて使われているが、983、1223などの素数は無視されているようである。
 この傾向は一時的なものであろうか?

2)次の疑問は、素因数で因数は一度きりであろうか? つまり、こんな形態に素因数分解されるものばかりだろうか?

答えは「No」であった。
  擬素数 1442372611289=1093^2×449×2689

かなりデカイのである。もう一つあった。
  擬素数 151896424469093=2027×6079×3511^2

 実にこの二つだけであり、しかも、3乗の素因子(4,5も)を含む擬素数はひとつもなかった。
1093と3511の二つは特別な名前がついている。ヴィーフェリッヒの数である。あのフェルマーの大定理に関する特殊な数であった。このタイプはかなり調べられているようで、通りで無いわけである。


素数の世界―その探索と発見

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