連分数がペル方程式を解くのに使われるが、平方根や立方根の数値計算にも役立てることは多くの人は理解している。根号の計算に実用的かどうか、結論からいうと級数展開のほうがより有効だろう。
5次方程式の実数解にも原理的にはつかえることを簡単に示しておこう。
この連分数を無限回まで進めた値をyとする。yは次式を満たすことになろう。
5次方程式の解になるわけだ。この計算では根号は使っていない。反復がともなう四則演算のみで5次方程式が解ける。
問題は連分数による数値解の精度だ。反復適用により実数解に収束するかもしれない。
上述のyをxの関数として原点付近の挙動をグラフ化しておこう。
x=0.75付近に実数解があることが知れる。
では、連分数の有限反復はどうであろうか?
5階層、10階層と反復度合いを変えて、計算する。xが連分数の底に残っている。
つまり、xの関数になる。横軸をxで連分数の数値を計算した。
なんとも意外なことに5階層のx=0とした、連分数値がx=0.72896となり、実数解に最近接している。x軸に平行な線は10階層以上の反復結果だ。なんと、いくら連分数の階層を深めても近似度は劣化するのだ。
より一般的には次の方程式の数値解推定に原理的には使える(はずだった)
しかしながら、精度が悪く、収束も保証されていない。
r=-2の場合を考えるとわかる。zの実数解は-0.5付近になるはずだ(下図の交点)。
しかしながら、連分数による数値の挙動はxを動かしてみても下のようなる。
x=-0.61近辺しか出せない!
上に凸の放物線型のやつが5回、10回、15回と次第に矩形状に近くなる。この連分数は極限で階段関数になるような性質があるだろうか?
分母が幾何級数的になる連分数の振る舞いは未知な分野だということだろう。