人間の手が触れていない

　古いSFに『人間の手が触れない』なる舶来小説があった。人類未見の形状！
ここでは2017年1月の掉尾を飾るべく、未到達な曲線を提供しておこう。

　これは　Abs[x]^Cos[ x - y] = Abs[y]^Sin[ y + x]　より生成されたとだけしておこう。

　同様に　Abs[x + y]^Cos[ x + y] = Abs[y]^Sin[ 3 y + x]　から生まれたのが下図。

　文学的な描写ではこれらの曲線を伝達できないが、数式とそのカルテシャン的表示でもって再現可能なことは注目すべき事実であるように思う。

　コンピュータの生成するデータはデカルトの夢の実現とみなせる。デカルト的桃源郷がVRだったりCGだったりするわけだ。分かりやすくいいかえると数学と論理により生まれた組合せ機械がコンピュータだ。
　ベタに言うなら、コンピュータの画面はジャガード織り機械の延長にあり、点と線を解析幾何学的に扱うことにより「文字」や「画像」が構成されている。
思考が投影されて、自己表現をコンピュータ画面上で再確認する点では「紙」の延長でもある。
我、思う。故に我の思考はSNSで伝達される。
　清水幾多郎やヴィーコが嫌ったデカルト的世界が出来上がってしまったのが21世紀なのだ。

デカルトの夢 (アスキー・海外ブックス)