無理数はそれ自体で数秘的な夢想を誘うものがある。ここでの無理数は代数的無理数としておく。有理係数の代数方程式の解となりうる有理数でない数だ。
2の平方根を100桁表示したものを眺めることから語ろう。
1.414213562373095048801688724209698078569671875376948073176679737990732478462107038850387534327641573.....
それは繰り返さない。
小数点のある部分から先を無限に反復するだけとなると有理数に堕落してしまうことが証明できる。そう、堕落である。
無理数は他の無理数で表現できるであろうか?
その問いの基本はこういうことだ。
1.4142135623730950488016887242096980785696718753769480731766797379907324784621070388503875343276415731732050807568877293527446341505872366942805253810380628055806979451933016908800037081146186757248576...
青字は3の平方根だ。つまり、問いはこうだ。
ある小数点展開より先のすべてが他の無理数の小数点展開になっていることがあるか?
答えは「ない」だ。
a,b,mは有理数だ。
mは2以外の有理数としておくと証明は自明であろう。両辺を自乗しても無理数が残るために上の式は成り立たないのだ。
しかし、根号の中が有理数である条件を外すと無理数に置き換えることもできる。二重根号だ。
そうでないケース、根号の中身が有理数の場合は成立しない。いくら小数点展開しようとも他の無理数の小数展開に置き換わることが永遠にないのだ。
無理数と超越数の関係にも類似のことは当て嵌まる。いかなる無理数の小数点展開のなかに超越数である円周率πの小数点展開は出現しない。2の平方根の一億桁からさきに円周率3141592...が現れることは絶対にない。一億桁であろうが何桁であろうがありえない。
n,a,b,が有理数であるとして、上式をみればそれは分かる。πはいかなる代数方程式の解にもならないことは証明されているから、上式は成立しない。
πのある場所から先が有理数の平方根になっていることはありえないし、その逆もありえない。
山ほど無理数があるのに、不思議といえば、不思議ではないだろうか。
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