代数的整数論で負の二次体というテーマは奥が深いらしい。表題の定理も1966年にようやく証明されたという。
平方因子を含まない負の整数mで虚二次体の類数が1であるのは、-1, -2, -3, -7, -11, -19, -43, -67, -163に限る
何を主張しているかというと、√mを加えて拡張された整数で素因数分解(素イデアル分解)的なのは上記の9個しかないといっている。
この整数しかないというのは、ある意味、神秘的な感じがする。
有名な-1の場合はガウス整数と呼ばれ、彼がガウス平面でその特性を最初に研究した。この定理もガウスが予想したという。
例の不思議な数値、ぎりぎり自然数になりかけの数
もこの一族なわけだ。
それゆえ、下記の系列を調べる動機にもなる。
小数部だけをとりだすと
{0.1406926327792690057290863679, 0.0196952232072175825108728588,
0.764588319145879240075153931, 0.93209522526109852456833256,
0.1430655924387666815509628, 0.777680154319497537893482,
0.999777466034906661937, 0.999998662454224507, 0.999999999999}
最後の3個が整数になりかけているわけですね。
折れ線グラフにしておきましょう。
これ以外のExpとπと自然数の平方根で、ここまで整数に肉薄するものはほとんど知られていない。だとするとベイカー・ヘーグナー・スタークの9個のmは、なかなか異質な数の集団ではないかと思えてくる。
【参考文献】
ベイカー・ヘーグナー・スタークの定理を証明してはいなけれど、手前のイデアル類群や単項イデアルなどを懇切丁寧に説明した良書だ。