自分は自民には投票しない

 なるほど民主党の政治は賞められたもんじゃなかった。まさに烏合の衆そのもので現実とマニフェストの間で揺れに揺れまくった。初期の意気込みとウラハラに船頭多くして船山に登るの醜態を重ねるばかりだった。
 それでも自民党の政権の復活は望ましくない。現在の見かけ倒しのリーダであれば、なおさらだ。
 そう、二世のぼんぼんで政権丸投げ前科もち自民党総裁は宰相に相応しいとは思えない。
 そもそも、この時期、靖国参拝をするような人物がこれからの政権をとるというのは、日本人の政治的センスが問われるだろう。英霊は英霊だろうけど国際的なバランス感覚が重要なのだ。
 対中関係を悪化させるしか能のない政治屋は選択肢からはずすべきであろう。選民意識濃厚な元都知事や歴史感覚ゼロの名古屋市長のグループにしても同じ穴の狢だ。
 自民党政権末期の首相の累々たる悲惨な有り様を思い出していただきたい。人気取りだけのバラマキで赤字国債をいたずらに増やしただけだったではないか。国家財政の赤字は自民党が築きあげてくれたことを忘れていいのだろうか。この負の遺産についての一言の反省もないのに自民党に投票するのは、国民的にお人好しすぎるだろう。
 民主党は是正の努力はした。成果は貧弱なものでありはした。野田政権になって、ようやく着実な政策遂行へたどたどしくも歩みだしたところである。
 このまま自民党が無反省のまま政権を奪取するのを看過するのは、国民としての品位に係わる問題だと自分は考える。
 首相をすげ替えても、政策遂行能力は野田首相より、悪くなることはあれ、良くなる保証は皆無ではないか。ましてや今度の自民総裁は政権をなんの業績もなしに投げ出した人物でしかない。
 国民生活にダメージを与えた小泉政権から安倍・福田・麻生、さらには鳩山・菅と短期間に生まれては消え失せた宰相は政治的無能の陳列台だった。
 要するに、民主党を支持するわけじゃない。無能の宰相を支持しないだけだ

 留意してほしいのは外交が日本復興の鍵であり、そのためには安定政権が必要だと思う。短命内閣では対中でも対韓でも対米でも腰が座らない。景気回復を攻撃的な国防よりも優先させたいならば、近隣諸国との融和が必要条件になる。国境のはずれの無人島で隣国と戦争したい人は少数だと信じたい。それは外交で解決する課題であって軍事力ではないはずだ。
 誤解を恐れずいっておくと戦史ものは自分は大好きである。だが、腕を振りあげるほどの問題ではないのに「国防軍」などという言葉遊びで周辺を刺激するのは、なんの得にもならないと言いたいのだ。
 そういう意味でも、ここは、なんとか野田首相には続投してもらいたいものだ。

 未知数の政権になればどうせ迷走するであろうから、民主党を支持するというのではなく、現政権を継続させるというのが必要悪だと言いたいのだ。
 これはまさしくオバマ政権と同じなのだ。対抗馬を選ぶよりまともだからアメリカ人はやむなくオバマを選んだし、その努力を継続させるしかないという政治的理性が働いたのだ。
 バラマキによる人気取りでなく消費増税という決断をした人物は、尊敬に値する。増税分が世代公平な社会保障に向けられるなら、なおさら良い。右翼的で利権がらみの自民党政権に戻っても我ら、中流の環境は劣化するだろう。そのイデオロギーが、ブッシュ政権と類似なのだから。
 現政権が続投できないような国民の選択は、それこそ世界の物笑いになるだろう