第二次世界大戦中に暗号が大きな役割を果たしていた。ドイツも日本も敗因の一つは連合軍に暗号を解読されてたことだろう。
ドイツの『エニグマ』の解読はチューリングという天才的数学者の参加が大きな決めてだった。日本の暗号(紫暗号)はやはり「暗号の天才」と呼ばれたウィリアム・フリードマンの活躍により筒抜け同然だった。
フリードマンの属する組織がアメリカ国家安全保障局(NSA)であることは注目に値する。
NSAはFBIやCIA以上の高度なインテリジェンスを誇る情報保安部局なのだ。
さて、太平洋戦争晩期の日本でもようやく計算機と数学者の参加により、暗号解読の科学戦体制が整ったことは、あまり知られていないようだ。
高木貞治以下の200名の数理科学系の研究者や学生が集められて長野県上諏訪に疎開と同時に、完全に暗号解読部隊化したのだ。そのメンバーには小平邦彦、彌永昌吉、古屋茂, 河田敬義, 岩澤健吉などそうそうたるメンバーがいた模様だ。
白米の飯と温泉付きの疎開なので、一同の士気は高揚したらしい。そして、アメリカ軍の使っていたZ暗号の解読を成し遂げたのも末期頃だという。−楢山良昭『暗号を盗んだ男たち』より−
その組織名を「陸軍数学研究会」という。
戦後、GHQの追求ならびに戦争協力の烙印を押されるのをおそれて、語ることも語られることも少なかった歴史だ。
同じ頃、生命保険会社が保有していたIBM製統計機を暗号解読のために借りるなどということもしている。当時は日本には数台しかなかったのだ。
また、東北大学の泉信一は乱数理論からの暗号研究を行ったという。
遅いスタートであり大きな貢献をなしたわけでもないが、かなりな線まで頑張ったという印象だ。
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