オイラーの φ 関数についての計算

 オイラーの φ 関数について、スモークマン氏からの鋭角的なご質問があった。

x が1より大きい奇数の時、x はノントーシェントである。また、偶数であるノントーシェントは無数に存在する事が知られている。φ(n)=xとなるnが存在するならば、それは少なくとも2つ存在するだろうと予想されているが、未だに証明されていない。一方、任意の k>1 に対して、 φ(n)=x となる nの個数がちょうど k 個であるような x は無数に存在することが知られている WIKIより

 目に見える姿で表現可能でしょうか...?
また...未証明の難しさは...どの辺りへんなのでしょうかしら...?

 エルデシュ級の数学者でなければ回答はできないでしょうが、数値計算で太線部分の状況を見える化してみました。

まずは、自然数のならびについてオイラーの φ 関数の計算値の集合を出す。(1〜100まで)
{1, 1, 2, 2, 4, 2, 6, 4, 6, 4, 10, 4, 12, 6, 8, 8, 16, 6, 18, 8, 12, 10, 22, 8, 20, 12, 18, 12, 28, 8, 30, 16, 20, 16, 24, 12, 36, 18, 24, 16, 40, 12, 42, 20, 24, 22, 46, 16, 42, 20, 32, 24, 52, 18, 40, 24, 36, 28, 58, 16, 60, 30, 36, 32, 48, 20, 66, 32, 44, 24, 70, 24, 72,
36, 40, 36, 60, 24, 78, 32, 54, 40, 82, 24, 64, 42, 56, 40, 88, 24, 72, 44, 60, 46, 72, 32, 96, 42, 60, 40}


 偶数はかなり出現しているようです。これを頻度別に集計してみます。
{1, 2}, {2, 3}, {4, 4}, {6, 4}, {10, 2}, {12, 6}, {8, 5}, {16, 6}, {18, 4}, {22, 2}, {20, 5}, {28, 2}, {30, 2}, {24, 10}, {36, 5}, {40, 6}, {42, 4}, {46, 2}, {32, 5}, {52, 1}, {58, 1}, {60, 4}, {48, 1}, {66, 1}, {44, 2}, {70, 1}, {72, 3}, {78, 1}, {54, 1}, {82, 1}, {64, 1}, {56, 1}, {88, 1}, {96, 1}

 記号{2, 3}は「2」が三回出現を示すのです。
例によって頻度分布をグラフ化します。横軸は偶数がならび縦軸には頻度ですね。
つまり、φ(n)=xとなるxが横軸で縦軸はkです。これをkを与えて、何個nがあるかをカウントするのが太線部分の意味だと解します。


この時点で、x=1となるnはありません。
 ところが1000個までφ(n)を見てやると現れている。範囲を広げるとφ(n)があらたな数値で出てくる。その大小はnに依存しないという辺りが難問となる理由なのでしょうか。

10000個までではこうなりました。

 ところでノントーシェントな偶数の例が分かります。
14, 26, 34, 38, 50, 62, 68, 74, 76, 86, 90, 94, 98などです。こいつらφ(n)を10000まで計算しても出現しませんでした。x軸にはない数ということです。それはそれで不思議な数たちです。

数論における未解決問題集

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