特異点のなかでも本気で可笑しな真性特異点

 見当違いな使命感から、複素関数における特異点の事例を視覚化してみます。

 Exp(1/z)の名だたる特異点はz=0です。
ローラン展開すればわかるように、

 この級数から、z→0にて無際限にzが発散しまくるのは、なんとはなしに理解できましょう。
これを「真性特異点」と称します。数学愛好家にとっては神聖で神秘なトポスであります。

 実際、Exp(1/z)の絶対値がどうなるのかは、下図です。|z|<1です。

 関数の絶対値が、z→0にて無限にでかくなるのはいいとして、真性の真性たるわけは偏角見える化すると理解が行き届くでしょう。

絶対値の図とは異なる特性が出てきていますね。
もっとz=0近傍を拡大してみます。

 関数値の偏角は大きな袋とじが何重にも合わさって、原点を包み込んでいるようです。
 偏角が多値化しているということは、同じ絶対値で複数の関数値が何度か重複発生していることを示唆します。
 これがピカールの大定理の一例となってくるわけでしょう。

 上からこの偏角の模様を覗き込むとこんな感じです。虚軸上に2つの同心円構造があるのです。

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【参考書目】
やはり関数の理解には視覚化でございます。とりわけ複素関数論は面白みのあるイメージが
理解を促進するような気がいたします。
そのハシリがこの本であります。