三角形を侮るなかれ

 大仰なタイトルでありますが、三角形の反復系の続きです。
以下の複素数で定義された点列を三角形として表示してゆきます。

 互いに接する二等辺三角形を順次、描いてゆくのであります。
zは二等辺三角形の頂点に対応します(複素数表示です)。θは初期の角度(等しい辺の角度)。rは最初の三角形の等辺の長さとお考えあれ。
 以降では、すべてのケースで、r=1としています。
αはθを等比級数的に変化させる指数であります。

 出来上がりはシンプルであります。最初の角は60度。左肩に二等辺三角形がどんどん搭載されてゆくだけですわ。

 あるいはこんな風景になります。θは45度でαは8/9で、12個の連続三角形です。

 収束して小さくなる扇形になるものと、誰もがそう理解するわけであります。
ところが、どうしてこの三角形の連鎖は、一筋縄ではいかないのであります。

 αが負になるとこうなります。θは60度です。

 α=-49/50となるとこんな感じですね。

 見やすくするために三角形の色を交互に変化させましょう。少々審美性をもたせるのです。

α=9999/10000だとむしろ既視感のあるパターンとなる。

α=-999/1000だとこうなる。

 見かけ上の新規性が染み出してきてはいないでしょうかね?

 しかし、ここまでのケースでは周期的なパターンか収束かどちらかに落ち着いた。でも、このシンプルな三角形の連鎖はそれだけじゃないようなのです。
 実は初期角度θとαの組み合わせによっては不定形な形状変化に落ちこむのだ。数学者なら上記の式が発散すると簡明に指摘するだけであろうけど、アマチュアにはそれが不可思議に感じられる。

 次のようなイレギュラーな形状が容易に生成されるのであります。
θ=π/√17でα=-19/10のケースとπ√2/2と - 99/100のケースだす。

 このようにグラグラと安定せずに挙動不審になるものもあります。原点から別の分岐もホの見えています。

【参考文献】相似対象変換群に関してはこの本がお勧め。

デザインサイエンス百科事典―かたちの秘密をさぐる

デザインサイエンス百科事典―かたちの秘密をさぐる

 良書なのでありますが高価なんが難。