出版界の救世主=自炊

 これまでに自炊のメリット、読書人にどのような利点があるかをくだくだしく論じた。
旧著『究極の電子書斎』においてもかなりシツコク語った。
 読者諸賢の皆さまからすれば、「驚きアキレス腱」なほどである。

「2010-11-13 自炊 本の電子化」
http://d.hatena.ne.jp/Hyperion64/20101113#1289617163

今週のお題 自炊時代の到来を知らせる」
http://d.hatena.ne.jp/Hyperion64/20101020#1287554100

「2010-10-05 電子書斎の究極化について」
http://d.hatena.ne.jp/Hyperion64/20101005#1286277195


 このたびは出版サイドへの利益を論じていく。苦境にあえぐ出版界にエールをおくり、自炊を奨励することが従来型のビジネスモデルの延命に効果があることを論じる。
 出版社が良心的な書籍づくりを推進していただかねば、読書人も知的に干上がってしまうからだ。

 自炊が出版界の救世主となる理由は以下の三点である。

 第一に、自炊することにより、書籍を保管するスペースが広がる。それ故に書籍を購買するチャンスが増えることになる。これまで、置き場所に困っていた人たちは本を買えるようになるのだ。個人スペースに本を並べたてるおいうのは知識の棚卸をいつもしているようで心地良い。いかんせん、そうしたスペースは限られている。書斎などという自由空間をもてるヒトは多くないはずだ。
そうしたスペースはあっという間に本や雑誌に独占され、新しい本など買えなくなる。
 このピンチに立ち向かう勇気と余裕を与えるのは、「自炊」だ。
 昨年、自分の購入本は1000冊ごえできたのは自炊のオカゲである。
自画自炊!
http://d.hatena.ne.jp/Hyperion64/20110124#1295868656


 第二に、自炊することにより、書籍はリサイクルされなくなる。
 蔵書が中古本として流通される機会が低減する。その所有者がお亡くなりになっても、古本屋に出回らなくなる。本は新刊本で買うこととなる。
 書籍は購入者の自炊によって、てもとに置かれることになる。*1
「いい本ほど自炊して手元にとどめる」これが基本態度であるとするなら、そして「読んで面白くない本は中古屋にもってゆく」というスタンスをとるなら、良い本はそれ自体が新刊購買を促進することになろう。


 第三に、古い本・面白い本ほど自炊することになる。古き名著がボロボロに朽ちてゆくのを見るに忍びないからだ。自分の愛した面白い本がどこかに置き去りにされることに耐えられないからだ。
 そして、その良さは電子化されて読書機会が増大することにより、不断に認知される。良さを認知すれば、ブログ・SNStwitterで引用し自慢したくなるのだ。ソーシャルメディアを通じて、自炊読書人は良い本を宣伝することになる。よって良著は売れるのだ。


 このように自炊活動は出版界に対してもその経済文化活動を支える素晴らしき行為である。
 要するに自炊すると場所が増え、本を買いたくなる。自分の乏しい経験から判断して、良書ほど自炊する可能性が高い。良書はいつまでも語り継がれ、その情報は口コミで拡大再生産される。そして売れるのだ。
 したがって、出版界は自炊と共存し、奨励することが良策であると断言するのは、言い過ぎであろうか?
 これって、ヒマ人の繰り言かなあ。

*1:個人的には、裁断した本を再度売るのは邪道だと感じている