高校数学で習う自然数の総和の式というと
1+2+3+4+......+n=n(n+1)/2
が懐かしい式の代表だろう。
気の利いた教師ならガウスが1から100までの総和をたちどころに回答して教室を驚かせた逸話などもしてくれただろう。
確か三乗和くらいまでは、学生時代に学んだかもしれない。
高次のべき乗の和の公式を求めた最初の人物にちなんでファウルハーバーの公式というそうだ。
下に20乗の和までの公式を載せた。6乗を超えたあたりから、因数分解もできず、不細工な多項式になってゆく。これでは、公式として学校で習うのも3乗までがいいところだろう。
さて、この表の冒頭で面白いのは S3=S1×S1 となることだろう。
つまり、
(1^1+2^1+3^1+4^1+5^1+6^1+7^1)^2=1^3+2^3+3^3+4^3+5^3+6^3+7^3
となるのだ。しかしながら、類似の関係式は上の表からはうかがい知れない。
だが、ややひねりを入れると似たような関係式を導き出せる。
S4=S2(6 S1-1)/5
S5=S3(4 S1-1)/3
などがシンプルな部類だろう。
少しとんで7乗和になると、例えば、下式のように分解される。
S7=2 S3 (3 S1☓S1 -2 S1 +1)/3
期待される因子はS5なのだが、なぜか分数式になり、S5を因子にできない。
S3=S1×S1のように最善な還元式というのが一意的に定まるかどうかは不明だ。
【補足11・25】
ユークリッドの互除法をこの多項式に適用すると組織的に還元できることが判明した。
Sn=Sn-2 P(n)+R(n)
R(n)=Sn-4 P1(x)+ R1(x)
というように2項とばしで多項式の除算を繰り返すだけである。多項式のPもRもSxに還元することができるようだ。
例えば、8乗和は多少の計算の後にこうなった。
あの計算の天才 オイラー世代の数学者はとうにご存知のルールだったようだ。
【参考文献】
著者の一人ジョン・コンウェイ氏はコロナ感染の犠牲者となってしまった。
純粋数学でも娯楽数学でも一流の仕事と愉しみを残した人物だった。マーティン・ガードナーと同じ頃に大活躍していた天才でありました。
コンウェイの純粋数学の貢献で著名なのが、モンスター群の発見だろうか。
20世紀数学の偉業というべきだろうねえ。