インダストリー4.0が創りだす国

 18世紀フリードリッヒ大王の時代のプロイセンは国全体が兵舎となった。「インダストリー4.0」によって国がまるごと工場となることを21世紀のドイツは目指している。

 大王の時代のプロイセンでは軍靴の響きが満ち満ちただけではない、大王は臣民に勤勉性を強制した。大王が朝寝坊の郵便局長を鞭で叩いて局舎から追い出したのは有名な逸話だ。
 国内の至るところで規則どおりに働かない人間は非難された。プロイセン軍は強かった。大国のロシアとハプスブルグ帝国のオーストラリアを相手に両面作戦を行い、負けなかった。それ故に死後、「大王」の尊称がつく。晩年は愛犬しか友がいなくなり、実際に愛犬ポツダムとの墓地がある。

 ヨーロッパ連合体のなかでも産業のパワーが群を抜くドイツは、EUプロイセンに例えてもおかしくはない。さらなる製造業のグレードアップのために国中まとめてセンサーとインターネットだらけにする「インダストリー4.0」(詳しくはNHKの解説を見られよ)で国内を工場建屋にしようとするメルケル首相は第二のフリードリッヒ大王、いや、世界初の理系の女帝になるのだろう。