2014年もノーベル賞を日本人が受賞することになったのは慶賀すべきことだ。自然科学系の受賞はなおさらいい。
本ブログでもそれを記念して、1901年から2014年までの国別の集計を更新してみた。全ての国ではなく上位16国までである。生憎と出典はノーベル財団ではなく、WIKIと「産学官の道しるべ」である。受賞件数ではなく、人数でカウントしている。また、出身国による集計のズレが一部に含まれる可能性はある。
上位16国のノーベル6賞の集計である。なぜ、10ではなく16にしたかというとイスラエルを組み込んでおきたかったからだ。
まあ、こんなものだ。アメリカが突出しているのは言うまでもない。ヨーロッパがそれ以外だ。この16か国に入った太平洋に面した国は日本とオーストラリアだ。アジアでは日本のみが10位位内だ。
自然科学賞の三賞に限定して合計を降順に並べ替えたのが下表である。
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスという科学技術の先進国に追随したポジションに日本があることは誇らしい。
明治維新後150年でここまできたわけだ。
しかし、フランスと日本の間にはギャップがあるのもわかる。フランスの総計は31であり、日本は17と半分程度である。ここは科学の発祥の地(ラボアジェ、パスツール、キュリーなど)と歴史の差であろう。
イギリスやドイツに肩を並べるのはさらに難しいであろう。近代科学の根源の地だからとしか言いようもない。体系を築きあげた科学者の名前を思い起こすだけでいい。イギリスのニュートン、ダーウィン、マックスウェルとファラデーなどは偉人伝の定番。ドイツはガウスあたりに始まりプランク、アインシュタイン、ハイゼンベルク、コッホやリービッヒなどぞろぞろといる。
アメリカは20世紀前半の欧州からの亡命および後半の移民層の厚みがこの傑出した数字になったということだろう。
痛々しいのは旧ソ連であろう。メンデレーエフやランダウの国は政治経済の長期的混迷により、研究環境が劣化し頭脳流出が響いたといえる。
オランダを超えたのは素晴らしいが人口が2000万人なのだから、単純比較もできまい。ホイヘンスに始まりオネスやローレンツを生み出した国だから無視できない。
受賞者数を対数軸にするこうだ。
物理学賞の人数の多さが目立つ。これは同時受賞者数が医学生理学や化学賞より多いことの現れだろう。なぜ、そうなるかというと物理学が成熟してきており単独で大きな成果を出す構図がなくなった(20世紀初頭でもそうなりつつあった)であろう。
今後、日本が価値ある研究成果を出して続けていけるかどうかは大きな課題ではあるが、21世紀になり受賞者を輩出しているのは(昭和の遺産であるにせよ)科学の世界での貢献が世界的に認知されだしたというあかしであろう。
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