東日本大震災は有史以来未体験とも言われるマグニチュード9だけのことはあり、まだ余震がくすぶっている。
その空間的な範囲は、これまでにないくらい広い。余震をどこまでの範囲でカウントするかも、再考しなければならないのであろう。
かつての地震学の権威であった力武常次が唱えた式によれば、地震と余震の範囲Lキロメートルは、本震のマグニチュードMとして、
Log(L)=0.5M−1.8
に従う。これでM=9としてみれば、L=500キロという広大な地域での余震が対象となると見積もれる。これは余震らしきものが生じている青森沖から房総沖までの範囲としては妥当な数値ではないだろうか。
一方、余震の期間T(正確には前兆期間)についてもこのような式があるが、M=9では十万年単位と非現実的な数なってしまう。
Log(T)=0.76M−1.83
これは、今までの地震統計で評価されていた通常の大きさの地震を、今回の地震がはるかに凌駕して甚大であったと解釈したほうが無難であろう。
(参考:宇津徳治『地震学』)
今回は震災前日の10日から22日までの地震情報を集計してみた。なお、M=0.2以下のマグニチュードは本文における情報源のtenki.jpでは発表から除外しているらしいので本集計から外れることをご承知おき願いたい。
1)時系列的な発生頻度の変化
本震が起きてから時間の経過とともに減少すべきなのに、22日はむしろ増えている。
なんてやなヤツだ。
2)空間的なマグニチュード総和
これまでに放出された一日あたりの地震エネルギー(縦軸はマグニチュードの単純和)という観点でご覧頂きたい。*1
茨城県沖と福島県沖がなかなか鎮まらない様子がうかがえる。気象庁が危惧する余震はこのあたりで起こりうるのだろうか?
3)マグニチュードの分布
大きさはまんべんなく起きている不安な状況である。
今回は震災前日の10日から22日を対象としたので、前回よりも回数は減っているようにみえる。
【おまけ】
南関東近辺での地震の発生回数をみてみよう。
縦軸が発生回数/日である。とくに目立った動きはないようだ。
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*1:科学的には意味のない集計かもしれませんのであしからず